八戸で甲殻類「フジツボ」テーマに公開講座 ビジネス化目指し試食も

「フジツボ夜話」の様子

「フジツボ夜話」の様子

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 八戸市の八戸ポータルミュージアム「はっち」(八戸市三日町)で9月30日、八戸学院地域連携研究センター公開講座「フジツボ夜話」が開かれた。

試食したフジツボ

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 同講座は同学院が進める青森県産フジツボのビジネス化に向け、一般市民にもフジツボの生態や栄養価、将来性などに理解を深めてもらおうと実施、約60人の市民が耳を傾けた。

 フジツボは養殖方法が確立されておらず、市場への流通量が極めて少ないため、県内の飲食店においても、目にすることが少ない高級食材。同学院では養殖技術を確立し、新たな県産食材として流通・成長させることを目指している。

 同講座には4人の講師が登壇。海洋生物研究家の倉谷うららさんは「魅惑のフジツボ豆知識・トップ20」と題して、フジツボは岩だけではなくクラゲや魚の表面にも付着すること、ダーウインもフジツボを愛したことなどを講話。北里大学名誉教授の加戸隆介さんは、大船渡湾や陸奥湾におけるミネフジツボの生態調査研究で、閉鎖性の高い大船渡湾では成長が早いことや、陸奥湾では水深10メートル付近の付着率が高いことなどを発表した。

 岩手大学生物工学研究センター主任研究員で同学院とのフジツボ研究プロジェクトに参画している山田秀俊さんは、フジツボの栄養価についてEPAやDHAを効率よく摂取できる食材と発表。最後に八戸学院大学ビジネス学部ビジネス学科特任教授の鶴見浩一郎さんが登壇し、同学院が進めるフジツボの養殖事業のビジネス化について、他のどこにもない青森県の特産品の一つに成長させていくことを説明した。

 講座ではフジツボを実際に試食。参加者はペンチを使って慣れない手つきで殻を割り、何とか身を取り出しながらフジツボを頬張っていた。甲殻類であるフジツボの食感はカニやエビに近く、甘みもある。養殖方法の確立やビジネス化のほかに、食べ方の確立も課題の一つとなっている。

 登壇した同大学特任教授の鶴見さんは「ミネフジツボはその見た目から貝だと思われているが、実は甲殻類で、とても美味しい。上手く養殖する方法が無く、中々普及していない、養殖が完全に行えるようになれば、2~3年後には収穫できる。産業化・ビジネス化に向けて取り組んでいこうと考えている。青森の新しい水産物として実用化するために、皆さんの支持が必要。多くの関心によって機運が高まればうれしい」と講座の手応えを話す。

 参加した自営業の栗谷川柳子さんは「友達に誘われて参加した。フジツボはウニ・エビ・カニを合わせたような味で濃厚でおいしかった」と食べてみた感想を話す。

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