八戸市の郷土料理店「肴町のわが家」が閉店 市民や観光客に愛され15年半

八戸の「肴町のわが家」が閉店した

八戸の「肴町のわが家」が閉店した

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 八戸市の郷土料理店「肴町のわが家」(八戸市六日町)が5月31日、営業を終了し閉店した。

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 同店店主の貝吹憲子さんは、東北新幹線の八戸駅延伸に合わせて整備された八戸屋台村「みろく横丁」内の第1期メンバーとして、2002年11月19日に「わが家」をオープン。2009年10月20日には八戸市六日町に2号店「肴町のわが家」がオープンし、2店舗体制に。2016年3月31日にみろく横丁を「卒業」し、同年4月からは六日町店1店舗で営業していた。

 店名内の「わが家」には貝吹さんが自宅で作っている料理の味をそのまま来店客に届けたいという思いが込められていた。貝吹さん手作りの八戸せんべい汁、ひっつみ、さめなます、しめサバなどの郷土料理が人気を呼び、八戸市民だけでなく観光客やビジネス客にも常連が多かった。南部せんべいを受け皿にして地酒を提供するなど、郷土の食材を生かした独自の店づくりで名実ともに「わが家」として多くの人々に愛された。

 飲食店の経営は初めての経験だった貝吹さんは現在69歳。今年3月で従業員が退職し、貝吹さん一人で営業していたが、5月末での閉店を決意し、オープンから約15年半での閉店となった。

 最後の営業となった5月31日には、3月末で退職した元店員も応援に駆け付けた。カウンター席には市内や県外から訪れた多くの常連や元店員が腰掛け、貝吹さんがわが家の店主として提供する最後の料理を名残惜しそうに味わった。静岡から訪れた常連のビジネス客の男性は「なかなか好きになれなかったせんべい汁も、この店のせんべい汁を食べて初めて好きになれた」と話す。

 貝吹さんは「70代に向かって、飲食ではない分野でもう一花咲かせたい。15年半はあっという間だった。この店は生きがいだった。最初は孫や子どものために始めた仕事だったが、今は自分の生きがいや楽しみに変わってきたところだった。急に閉店することになったが、70代になるのに合わせて楽しみを別なことに切り替えて楽しんでいきたい」と話す。「何も知らずに始めた商売だったが、お客さまに全てを教えていただいた。お客さまや周りの方々に対しては、本当に感謝の気持ちしか残っていない」とも。

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