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八戸から鎌倉へ 山田範子さんが生み出す「桜貝アクセサリー」の魅力とは

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 八戸出身の山田範子さんが現在、神奈川県鎌倉市で桜貝を使った「桜貝アクセサリー」を制作するアトリエ「Lino Drops Kamakura(リノ・ドロップス・カマクラ)」を営んでいます。由比ケ浜の海岸線で拾い集めたピンク色の桜貝に樹脂を組み合わせて制作したピアス、イヤリング、ネックレス、ブレスレットなどのアクセサリーを、アトリエを訪れた人々に販売する日々を送ります。桜貝に魅せられた山田さんの思いを聞きました。

 

八戸での憧れが、鎌倉の意味で現実に

 JR鎌倉駅から徒歩約10分の場所にリノ・ドロップスを構える山田さん。八戸に住んでいた頃から、瓶に詰められた桜貝を見ては「こんなにきれいな貝はどこに落ちているのだろう」と夢見ていたといいます。実際に桜貝を拾い集めるようになったのは、脱サラして鎌倉に移住した2011(平成23)年。由比ケ浜の海岸線に落ちていると聞き付け、足を運んでは桜貝を拾い集め、瓶に詰めていきました。「自分で拾うことができることに感動した。海岸の端から端まで歩いても拾えない日もあるし、たくさん拾える日もあった」と山田さん。

 

壊れやすい桜貝をアクセサリーに。きっかけはパートナーの一言。

 アクセサリーの制作を始めたきっかけは、「これどうするの? 何か作ったら?」というパートナーの一言。趣味でアクセサリー作る経験があった山田さんは、鎌倉の土産品になるものを作ることを思いつきます。しかし、拾い集めた桜貝は薄く壊れやすく、中には欠けたものも少なくありませんでした。試行錯誤を重ねる中で、会社員時代に扱っていた樹脂の存在を思い出し、桜貝の色合いを損なうことなく、強度を補強して透明感のある素材にする方法を編み出します。

 

鎌倉の風土に後押しされ、特許取得へ

 「鎌倉には、アトリエやカフェなど、個人経営の店を営む人が多く、作家を受け入れる風土があると感じた。自分にも何かできるのではと、わくわく感が芽生えた」と山田さん。2013(平成25)年、鎌倉市内のフリーマーケットに出店し、自ら考えた製法を生かして作ったアクセサリーの販売を始めます。2014(同26)年にはアトリエを開き、2017(同29)年には「桜貝アクセサリーの製造方法」で特許を取得。現在、山田さんの作品は、鎌倉産品推奨委員会が鎌倉の特色を生かした商品を認定する「かまくら推奨品」や、鎌倉市のふるさと納税返礼品に選ばれています。

 

鎌倉で描いた夢を、八戸でも

 アトリエでは、訪れた人々に桜貝を選んでもらい、希望のアクセサリーを制作することも。山田さんによると、桜貝は色や大きさによってさまざまな「顔」があるといいます。八戸の海岸線で見つけられなかった桜貝を鎌倉で見つけ、アクセサリー作りを続ける山田さん。「桜貝を通して笑顔を届けていきたい。八戸と鎌倉は『海』という共通点がある。今後は、八戸でもアクセサリーを販売したい」と話します。

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Lino Drops Kamakura

 

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