八戸工業大学土木建築工学科3年生が中心市街地の課題解決に向けた研究の最終報告会を1月20日、八戸ポータルミュージアム「はっち」(八戸市三日町)で開いた。
同大学では2016(平成28)年から第三セクター「まちづくり八戸」や八戸市と共同で、中心市街地の利便性向上に向けた研究を進めている。2019(令和元)年には、三日町と六日町の中間を横断する「花小路」の路面整備の基本構想・基本設計について同大の研究が生かされるなど、一定の成果があった。
昨年度までは「土木総合デザイン」の授業の一環として土木を中心とした研究を実施していたが、今年度から「総合デザイン」に名称を改め、建築の分野も加えた研究を行っている。
報告会では、学生が6つの班に分かれ、歴史的建造物を活かした「猫カフェ」の整備や、長根公園の体育施設の再編案などについて、研究結果を発表した。このうち、中心街の景観デザインについて研究した班は、本八戸駅前と中心街を結ぶ本八戸駅前通りの再整備について発表。課題として、歩道が狭いことや、バリアフリー化が進んでいないことなどを指摘。「8回通りたくなる道にする」をテーマに、建物や舗装を統一感のあるデザインで再整備し、空き店舗を活用したテナントやイベントスペースを設置したり歩道上に「ポケットパーク」と呼ばれる小さな広場を設けたりするなどのプランを発表した。
本八戸駅前通りの再編プランを考えたグループの同科土木コース3年柾谷みなみさんは「本八戸駅前通りは高校生やお年寄りがよく通るので、賑(にぎ)わいを取り戻してほしい。生活のための道路だけでなく、訪れたくなる街になったら良いと思う。卒業後は地元に残って、既存の施設をより良くして、安心して暮らせるまちづくりに貢献したい」と話す。
まちづくり八戸企画本部長の妻神敬悦さんは「今年で5回目になるが、今年度から建築と土木の両方の学生が参加することになり、多方面から研究され発表にも生かされている。学生が研究のために中心街を訪れることは、まちづくりのために良いことだと思う」、同科准教授の橋詰豊さんは「普段の座学だけでなくリアルな課題の解決を学ぶために実施している。毎年市長にも発表しており、学生にも貴重な体験となっている。中間発表を機に学生もより熱心になり、今日の発表に至った」とそれぞれ話す。
研究結果は、今回の質疑応答で出された提案などを加えて最終報告書にまとめ、八戸商工会議所や八戸市に提案される。