八戸出身の芥川賞作家、故・三浦哲郎(てつお)さんの短編集「真夜中のサーカス」を元にした演劇公演が5月19日・20日、八戸市公会堂(八戸市内丸1)文化ホールで開かれる。
「八戸市公民館特別企画演劇公演」として実施。同公演は2014(平成26)年に始まり、コロナ禍で2020年・2021年は見送っていたが、昨年再開。今回で8回目を迎える。八戸市内のアマチュア劇団の垣根を乗り越えたプロデュース公演となっており、出演者の世代も幅広い。
三浦さんが手がけた「真夜中のサーカス」から4つの作品を元に、八戸市公民館の柾谷伸夫館長が脚本を、田子町出身の演出家・三浦哲郎(てつろう)さんが演出を務める。昭和40年代の高度成長期に取り残された、寂れた小さな港町「菜穂里」(なほり)を舞台につづられる4つの物語。「ときにはコミカルに、ときにはもの哀しく、『短編小説の名手』と言われた作家・三浦哲郎の心象風景が広がる演出」だという。
特別出演として、国内外で活動する八戸出身のソプラノ歌手・小寺彩音(あやね)さんを迎え、「いつものクラシック音楽とは異なる歌唱で舞台を彩る」という。小寺さんは、演出の三浦さんを演劇界に導いた元高校教諭・劇作家・演出家の故・小寺隆韶(りゅうしょう)さんの孫。隆韶さんは県立八戸北高校演劇部の顧問を務め、全国高文祭演劇部門で同部を3度の全国優勝に導いたほか、青森県芸術文化賞を受賞するなど、青森県の演劇界の発展に貢献した。映像担当には隆韶さんの次男で映像作家の小寺等之(ひとし)さんが参加。世代を超えた共演も見どころとなっている。
作中で2つの役をこなす柾谷さんは「舞台は50年前の物語だが、確かに現代とつながっている。面白くて楽しくて、とても哀しい、心に残る舞台になると思う。期待してほしい」と話す。
開演は、19日=18時30分、20日=13時30分。前売り券は、一般=2,000円、高校生以下=1,000円。当日券は500円増。チケットは、八戸ポータルミュージアムはっち、ラピア、八戸市民劇場、八戸市公会堂、南郷文化ホールで取り扱う。