青森県出身の歌人で劇作家の寺山修司さん没後40年を振り返るトークイベント「寺山修司が見つめるその先に」が1月13日、八戸ブックセンター(八戸市六日町)で開催された。
同センターでは毎年1月、寺山さんの「戸籍上の誕生日」という1月10日に合わせてトークイベントを開いている。今回は寺山修司記念館(三沢市三沢)学芸員の広瀬有紀さんを招き、同館で現在開催中の企画展「ポスト・テラヤマ 1983-2023 寺山修司がいなかった40年」の解説を中心に行った。
広瀬さんは企画展の内容紹介のほか、昨年11月に復刊した書籍「書を捨てよ、町へ出よう」をはじめ、現在も出版が続く寺山さんの関連書籍を紹介した。会場に駆け付けた寺山修司ファンたちは、スクリーンに投影される寺山さんの関連資料や直筆原稿の画像を興味深そうに眺め、広瀬さんの踏み込んだ解説に何度もうなずいていた。イベントは予定されていた2時間を超え、終了後は広瀬さんに駆け寄り話し込むファンの姿もあった。
広瀬さんは「ポスト・テラヤマとは『寺山修司の後』という意味。亡くなっても新刊が出版されるなど、寺山修司の言葉は今でも多くの人に求められている。没後40年間、社会に与えてきた影響を知ってもらえたら」と話す。企画展では、寺山さんの訃報を伝える当時の新聞記事から、中国で近年盛んに行われているという中国語翻訳の出版事情まで、これまで40年間の寺山さんに関する動きを紹介。新収蔵資料として、八戸市堤町で2020年まで営業していた古書店「古書遊歩堂」所有の直筆原稿や関連書籍を展示している。
寺山修司ファンという同センター職員の熊澤直子さんは「今回の企画展では、寺山のいなくなった40年を寺山修司記念館ならではの切り口で振り返った。トークイベントは、広瀬さんの解説があることでより深く寺山作品を理解できるのではと考え企画した。イベントに来られなかった人は記念館に足を運んでいただけたら」と話す。
企画展の入場料は、一般=550円、高校・大学生=110円、小学生・中学生=60円。土曜は中学生以下無料。6月4日まで。