見る・遊ぶ 学ぶ・知る

八戸市庁前の小便小僧が「おでかけ中」に 「水が2本出て驚いた」

噴水口から水が2本出ている様子

噴水口から水が2本出ている様子

  • 44

  •  

 八戸市庁前ロータリー(八戸市内丸1)に建つ小便小僧が現在、不在となっており、「ただいまおでかけ中」と書かれた表示板が設置されている。

八戸市道路維持課が設置した「ただいまおでかけ中」の表示板

[広告]

 八戸商工会館(同)と八戸市美術館(内丸2)をつなぐ横断歩道に挟まれた交通島「八戸市庁前ロータリー」の中央に建つ小便小僧は長年、中心街のシンボルの一つとして市民に親しまれている。八戸市は2021年6月、八戸市美術館の開館に合わせ小便小僧を囲むように設置されていた噴水を撤去して歩行空間を広げ、さびが目立っていた小便小僧は鮮やかな緑色に再塗装し、常に水が出ていた噴水口はボタンを押すと水が出る仕組みに変更した。

 5月、市道路維持課の職員が小便小僧の噴水口の故障に気付いた。「ボタンを押すと水が勢いよく2本出て驚いた」と職員。噴水口の先端が腐食し、横に空いた穴からも水が出るようになっていたという。その後、同課が詳しく確認したところ、噴水口のほかにもさびが進んでいる部分があることが認められたため、小便小僧を撤去し、修理に踏み切った。同課の職員は「小便小僧が多くの市民や子どもに親しまれていることから『修理中』ではなく『ただいまおでかけ中』と書かれた表示板を作り、設置した」と話す。

 小便小僧は明治天皇がこの場所を訪れたことを知らせる石碑を背にして建つ。1873(明治6)年、現在の八戸小学校がこの場所で開校し、講堂は1881(明治14)年、明治天皇が八戸を訪れた際の行在所として使われた。同課によると、小便小僧は1957(昭和32)年に設置され、何度か代替わりして現在の小便小僧に至るという。八戸市文化財審議委員長の滝尻善英さんは「この場所は八戸の教育、文化、政治の中心地だった。戦後に全国で小便小僧が設置されるブームが起こり、八戸にも設置されたのでは。小便小僧は八戸三社大祭や八戸えんぶりの期間中は祭りの衣装に身を包み、市民と一緒に暮らしてきた存在」と話す。

 「おでかけ中」の小便小僧は6月下旬に帰ってくる予定。同課の職員は「小便小僧は子どもなので、いろいろな場所に遊びに行っていると思ってほしい。小僧はボタンを押せば押してもらうほど元気が出ると思う。帰ってきたら、楽しみながらボタンを押して、小僧との交流を楽しんでほしい」と呼びかける。

 中心街で働く男性は「故障した場所が場所だけに、小僧にはちゃんと養生して元気に戻ってきてほしい」と話す。

八戸経済新聞VOTE

八戸経済新聞で知りたい情報は?

エリア一覧
北海道・東北
関東
東京23区
東京・多摩
中部
近畿
中国・四国
九州
海外
セレクト
動画ニュース