
「青森レインボーパレード in はちのへ」が6月28日、八戸市中心街で行われた。
性や生き方の違いを尊重し合うことの大切さを伝えようと実行委員会が企画。12回目となる今回は、初めて青森市から八戸市に開催地を移した。全国から参加した当事者や「アライ」と呼ばれる支援者、カナダやアメリカなどの外国籍の市民、自治体関係者、政治家など141人が、性的マイノリティー当事者への支援や連帯の目印とされる虹色の衣服やアクセサリー、フラッグなどを身につけ、音楽に合わせて中心街を歩いた。
八戸市庁前で行われたオープニングセレモニーでは、県内16市町からメッセージが寄せられたほか、東北各県や北海道、京都府、岡山県、兵庫県などで性的マイノリティー当事者の支援に取り組む団体のメンバーが、それぞれの活動を紹介した。
実行委員会メンバーの岡田実穂さんは参加者を前に、性的指向を本人の同意を得ずに暴露する「アウティング」によって青森に住むことができなくなり、同パレードへの参加を見送った人からのメッセージを紹介。「家族の無理解や周囲の差別によって苦しさを抱えている人がいる。八戸や、それぞれのふるさとが生きやすいまちになり、自分らしく安心して生きられるようになれば」と訴えた。
熊谷雄一八戸市長はあいさつで、同市が性自認に関することへの理解促進につなげるためのリーフレットを配布していることや、性的マイノリティー関連の講座の開催に取り組んできたこと、今年は6月の「プライド月間」に合わせて市総合保健センター(八戸市田向3)の壁面を虹色にライトアップしたことなどに触れ、「近年は性的マイノリティーへの理解は進んできているものの、さらなる理解促進が必要。このパレードが、誰もが互いを認め合いながら自分らしく誇りを持って暮らせる社会の実現につながれば」と期待を込めた。実行委員会によると、自治体の首長が同パレードに参加するのは初めてだという。
市営書店「八戸ブックセンター」(六日町)は当日、パレードの開催を祝うメッセージをプリントしたポスターを店先に掲出し、同パレードへの賛同を示した。
「初めて八戸を訪れ、皆さんの温かさに触れた。左利きの人や血液型のAB型の人と同じくらいLGBTQの人がいる。ひっそり生きている人がいることを知ってもらえれば」と弘前大学(弘前市)で活動するサークル「ぷらうど」メンバーの一人。青森市で性的マイノリティー当事者の交流拠点「コミュニティ・スポット・JOY」を提供してきたアリエス・カーリー・龍さんは「沿道の人が笑顔を向けてくれた。当事者とそうでない人との考えのすり合わせができて、青森がセクシャリティーを気にしなくても良い場所になれば」と期待を込める。
岡田さんは「八戸初の開催で、地元のスタッフの中には歩くことに戸惑いを感じている人もいた。多くの店の人が旗を振り応援してくれて、八戸は優しいまちと感じた。『地元で生きることができない』と思っている人にとっては命に関わる問題であることを知ってもらえれば」と話す。