八戸市埋蔵文化財センター「是川縄文館」(八戸市是川)で12月17日から、パネル展「伝える 大正・昭和初期の是川遺跡記録写真vol.2」が開かれている。
大正から昭和初期にかけてガラス乾板で撮影・保存された、是川遺跡や出土品の写真を保存修理と高精度デジタル化しパネル化したものなど38点を展示する同展。
1913年(大正2年)から始まった泉山岩次郎・斐(あや)次郎兄弟や研究者たちによる発掘調査のうち、大正9年から昭和4年ごろのものと思われる中居遺跡や一王子遺跡の発掘現場や出土品などを撮影した写真のレプリカを展示している。
写真はフィルムが主流になる前に使用されていた「ガラス乾板」と呼ばれる技法で撮影されたもの。同館では当時撮影された写真199枚の原版保護と長期記録を目的にデジタル化作業を進めていて、130枚の作業が完了。撮影者は不明ではあるが、写真の被写界深度や出土品の並べ方など撮影状況が良好なことから、おそらく当時の写真専門家などが撮影したものと考えられている。
ガラス乾板は、写真用の薬剤を塗布した特殊なガラス板を写真機にセットして撮影する技法。泉山兄弟や関係者によって撮影されたとされるこれらの写真は、ガラス板の割れやひびなどの劣化が見られるものの、出土品の一つひとつの文様が細部まで丁寧に撮影されており資料的価値も高い。現在では使用されることの無いガラス乾板の技法を知る意味でも興味深い展示となっている。
撮影当時に書いたものと考えられる鉛筆書きのメモや、甲板の箱、当時の絵ハガキ、甲板写真用のカメラなども展示している。
写真の中には、重要文化財に指定されている物や、是川縄文観の常設展で展示されている物も多くあるため、企画展を見た後に常設展を見ることで、写真と本物を見比べることもできる。
是川縄文館の学芸員・苧坪(うつぼ)祐樹さんは「大正から昭和初期にかけて撮影されたガラス乾板を保存修理と高精度のデジタル化技術で現代によみがえらせた。今まで縄文館に来たことがある方も、いつもの展示とは違う展示になっているので、ぜひお越しいただければ」と来場を呼び掛ける。
9時~17時。2017年3月20日まで。同展は入場無料。常設展は、一般=300円、高校生・大学生・市内65歳以上=150円、市外小中学生=50円、市内小中学生と未就学児無料。期間中の休館日は12月19日、26日、12月27日~1月4日、1月10日、16日、23日、30日、2月13日、20日、27日、3月13日。