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八戸市職員互助会、三社大祭参加50周年祝う山車 閉じた状態でも楽しんで

山車の側面

山車の側面

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 八戸市職員互助会山車組の八戸三社大祭参加50周年を祝う山車が、祭りが開幕した7月31日、披露された。

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 同山車組は1972(昭和47)年、初めて山車を制作し、祭りに参加。2002(平成14)年以降は、山車絵師の夏坂知良さんが親方を務め、現在は5人のメンバーが制作を担う。2022年に50周年を迎えたが、2020年~2022年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で祭りが規模を縮小し、山車制作と運行が見送られた。今年、通算50台目となる山車で50周年の節目を祝う。

 山車の題材は「五十周年祝(いわい) 鶴亀と寿三番叟(さんばそう)」。夏坂さんが原案を考えた。山車全体を宮廷に見立て、全27体の山車人形で歌舞伎の祝いの場面を描く。正面上段の主役は女帝、中段は舞踊「鶴亀」、下段は歌舞伎「寿三番叟」から平和や子孫繁栄を願う舞の場面を配置した。

 装飾には発泡スチロールを使った鶴や亀の彫刻作品を点在させたり、「松」「竹」「梅」の装飾をあしらった46枚の扇を設置したりするなどし、祝いの空気感を表現したという。山車後方から正面に向かって大きく起き上がる仕掛け「バタンコ」には、翼を広げた鶴を配置した。裏側「見返し」は、五芒星(ごぼうせい)の下で安倍晴明と源博雅が邪気を払う場面を描く。

 山車制作責任者の来迎高志さんは「沿道で見ている人に山車が閉じている状態でも楽しんでもらえるよう、側面にも多く人形を配置した。側面には発泡スチロールの彫刻作品を設置せず、人形で表現した。人形のポーズや、見えの切り方、指先まで力が入っているかなど、山車制作の基本を大切にしている」と話す。近年の山車は、大型化や仕掛けの複雑化によって、仕掛けが開かない状態で運行することが多くなっているという。今年の山車は、見ものになっている「せり上がり」「展開」「バタンコ」などの可動式の仕掛けが閉じた状態でも楽しんでもらおうと、山車側面に春を祝う舞を表現した8体の山車人形を設置した。人形に着せる衣装や烏帽子(えぼし)を作り替えたほか、一部の女性の人形の頭上には、歌舞伎の舞台で使われる本物の「天冠」を設置した。

 祭りの前夜祭が行われた31日、同山車組の山車の前には市民や観光客が詰めかけ、写真を撮ったり、おはやしに合わせて手拍子をしたりして楽しんでいた。

 「今年の山車は全てが歌舞伎の場面。本物の歌舞伎を知った上で制作することが大切。この山車は市役所の職員が引っ張る。皆さんに喜んでもらえれば」と夏坂さん。山車制作副責任者の佐々木諒太さんは「前夜祭で無事に山車を披露でき、安心した。おはやしを担当する皆さんも喜んでくれた。祭り期間は、事故なくおみこしのお供をしたい」と話す。

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