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存続危機の騎馬打毬、八戸在住の橘さんが魅力熱弁 南部家主催のイベントで

騎馬打毬の魅力を解説する橘さん

騎馬打毬の魅力を解説する橘さん

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 トークイベント「八戸騎馬打毬(だきゅう)応援イベント」が6月14日、八戸ポータルミュージアムはっち(八戸市三日町)で開かれた。

騎馬打毬(写真提供=こなんぶ)

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 青森県の無形民俗文化財に指定される馬術「加賀美流騎馬打毬」が抱える課題を共有しようと、八戸藩南部家が主催。16代当主の南部光隆さんや関係者が、江戸時代から続く歴史や存続に向けた方策のアイデアを紹介し、詰めかけた約120人の市民が聞き入った。

 騎馬打球は、八戸の夏を彩る祭り「八戸三社大祭」中日の8月2日、長者山新羅神社(長者1)の「桜の馬場」で行われる。同神社の神事として198年にわたり受け継がれてきた。会場では、継承活動に取り組む八戸騎馬打毬会から幹事長の山内卓さん、応援団体「南部打毬を応援する会」から代表の工藤義治さんが登壇。馬や後継者の不足、牧場経営者の高齢化など、抱える問題が多く、存続の危機にあることを訴えた。

 3時間に及ぶイベントのトリを飾ったのは、騎馬打毬の熱心なファンだという八戸在住の橘央子さん。約30分にわたり、その魅力を熱弁した。

 10年以上前から観戦してきたという橘さんは、子どもが幼い頃、観戦後に騎手が馬に乗せてくれたエピソードを紹介。自身も騎乗を体験した経験を振り返り、「馬の上はとても不安定。騎手は片手で馬を操り、もう一方の手でつえを持つ。やってみると、その大変さがよく分かる」と力を込めた。

 橘さんは、県外から八戸三社大祭を訪れる知人を騎馬打毬の会場に案内することも多いという。「青森の祭りといえば『ねぶた』という人も多いが、三社大祭を知らないのはもったいない。特に騎馬打毬は八戸市民でもその魅力を知らない人が多い」と呼びかけ、その背景として、同じ日に行われる夜間山車運行の陰に隠れて注目されないこと、開催が年1回のみであること、事前PRの不足などを挙げた。

 騎馬打毬は現在、八戸のほか山形県、宮内庁でも継承される。橘さんはそれらの違いにも触れながら、小柄な馬を操る激しい試合運び、観客と騎手の近さ、古式ゆかしい馬具を使って競技をすることなどが、八戸の騎馬打毬の魅力であることを強調した。

 さらに橘さんは「騎馬打毬の魅力を知るには『推し騎手』を見つけるのが一番。一人一人がかっこいい騎手ばかり。推しがいると応援の熱も違う」と力を込めた。騎手が繰り広げる攻防戦の中で相手をブロックしたり毬を奪ったりするしぐさや、つえを巧みに操る騎手の技術、門に毬を投げ入れる際のかけ声の格好良さなどを、動画や写真を交えて紹介。会場に居合わせた騎手の小向眞一さんをステージに呼び込む場面も。橘さんのリクエストで小向さんがつえで毬を拾い上げると、詰めかけた市民から拍手が起きた。

 橘さんは「騎手たちの技術に注目し、成長を見守り、いかにすごいのかを知ってほしい。皆さんにはとにかく、今年の騎馬打毬を見に来て、その素晴らしさをSNSで世界に発信してほしい」と呼びかけた。

 南部さんは「イベントは騎馬打毬の現状を知ってもらうために企画した。どうすれば八戸の宝を続けていけるのかを考えるきっかけになれば」と話す。

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