
八戸藩南部家16代当主の南部光隆さんが8月1日、八戸のコミュニティー放送局BeFM(八戸市番町)のラジオ番組で「加賀美流騎馬打毬(だきゅう)」への来場を呼びかけた。
八戸藩南部家は江戸時代、八戸を中心とした八戸藩を治めた。南部さんは、八戸三社大祭の行事の一つ「加賀美流騎馬打毬」が8月2日に長者山新羅神社(長者1)で開かれるのを前に、同局の特別番組「BeFM八戸三社大祭お通りスペシャル2025」に生出演し、番組内で来場を呼びかけた。
騎馬打毬は、同神社の神事として198年にわたり受け継がれてきた。紅白の2チームに分かれた騎手が馬を巧みに操りながらまりを拾い上げ、毬門(まりもん)に投げ入れる場面が見ものになっている。長年にわたり八戸騎馬打毬会が継承活動に取り組んできたが、近年は騎手の後継者不足や馬の高齢化、牧場の経営難などを背景に、存続の危機にあるという。埼玉県在住の南部さんはこれまで、2月の祭り「八戸えんぶり」でチラシを配布したり、市内で講演活動を行ったりして窮状を訴えてきた。
南部さんは同番組で「このままでは騎馬打毬が続けられなくなる。先祖が始めた文化が、私の代で途絶えてしまうのではと危機感を覚えている」と話した。南部さんによれば現在、騎馬打毬に使う馬を飼育する牧場は1カ所しかなく、新型コロナウイルス感染拡大によって馬の確保が遅れたことが、厳しい状況に追い打ちをかけたという。
南部さんは例年、南部家のために設置されたヤグラの上から騎馬打毬を観戦する。今年は親交が深いという米沢新田藩上杉家当主で上杉謙信の末裔の一人、上杉孝久さんを招待し、一緒に観戦する予定という。
南部さんは「騎馬打毬は八戸の宝。来年開催できるか分からない状況。まずは来場してもらい、素晴らしい文化があることを知ってほしい。皆さんと一緒に今後の在り方を考えていけたら」と話す。