見る・遊ぶ 暮らす・働く 学ぶ・知る

八戸で「騎馬打毬」、存続危機もにぎわい見せる 最後の得点は中学生

得点を決め笑顔を見せる板橋さん

得点を決め笑顔を見せる板橋さん

  • 6

  •  

 伝統武芸「加賀美流騎馬打毬(だきゅう)」が8月2日、長者山新羅神社(八戸市長者1)で行われた。

米沢新田藩9代当主の上杉孝久さんも来場し、南部さんと一緒に観戦した

[広告]

 青森の夏を代表する祭りの一つ「八戸三社大祭」の中日に開かれる騎馬打毬。開催日が土曜と重なった今年は、同神社の「桜の馬場」に大勢の市民や観光客が訪れた。赤と白に分かれた騎手たちが馬上から激しくまりを取り合う様子に、会場は大いに沸いた。

 ルールは、自軍の色のまりを4つ、相手より先にノーバウンドで「毬門(まりもん)」に投げ入れたほうが勝ちとなる。1、2回戦は白、3回戦は赤が勝利した。最後に得点を決めたのは赤の中学1年の板橋東義さん。騎馬打毬に取り組む父親や兄の影響で昨年初めて出場し、今年初めて得点を決めた。2人の兄と一緒に出場した試合を終え「去年は得点を決められなかったが、今年はそれを取り返すことができた。練習では馬から落ちないことや、まっすぐまりを飛ばすことを意識した。来年も点を取りたい」と笑顔を見せた。

 江戸時代の1827年、八戸藩8代藩主・南部信真(のぶまさ)が社殿や桜の馬場を整備したのを機に馬術振興のため導入し、以降、奉納されてきた騎馬打毬は現在、存続の危機にある。後継者や馬の不足、牧場の経営難などが課題。八戸藩南部家16代当主の南部光隆さんは今年、そうした現状を広く知ってもらおうと、住まいのある埼玉県からたびたび八戸を訪問。騎馬打毬に関わる人や団体を訪ねて現状を調査し、2月の祭り「八戸えんぶり」でチラシを配布したり、講演会を開いたり、PR動画を制作したりして支援を呼びかけてきた。

 「南部打毬を応援する会」はこの日、境内で募金活動を行った。南部さんの呼びかけで窮状を知った約10人の市民が活動に協力。新たに制作したそろいのポロシャツで支援を訴えた。来場者からの寄付金は今後、継承に取り組む八戸騎馬打毬会に渡す。

 「去年と比べて来場者の数が格段に違う。存続に向けた第一歩を踏み出せたかどうかの段階。まだまだこれから」と南部さん。騎馬打毬会幹事長の山内卓さんは「今日は多くの人が来場してくれた。馬の確保が課題。皆さんの支援で、これからも続けていけたら。40代や60代から騎馬打毬を始めた人もいる。興味がある人に参加してもらえれば」と話す。

八戸経済新聞VOTE

八戸経済新聞で知りたい情報は?

エリア一覧
北海道・東北
関東
東京23区
東京・多摩
中部
近畿
中国・四国
九州
海外
セレクト
動画ニュース