
旧西越小学校(新郷村西越)の廃校舎で現在、現代アート展「RPG」が開かれている。
新郷村西越地区の地域振興団体「さいごし笑楽幸(しょうがっこう)」が主催。キュレーターを務める八戸工業大学(八戸市妙)感性デザイン学部4年の小比類巻侑生(ゆうき)さんが「シンゴウムラアートプロジェクト」の一環として企画した。「当事者性」をテーマに掲げ、同村、八戸市、東京都などから参加した8人のアーティストや小比類巻さんの作品約20点を展示している。
タイトルの「RPG」は、ゲームのジャンルの一つから取った。参加アーティストを「仲間」、来場者を「主人公」と捉え、アートの世界を自由に楽しんでもらおうという意図を込めた。アーティストには得意な作風にとらわれず、自由な発想で制作してもらったという。
展示するのは、参加アーティストが自身の表現に迫った作品と、それに着想を得て小比類巻さんが制作した作品。アーティストとキュレーターの2つの視点を会場に交差させた。教室、階段、廊下などの至る所に、音声、絵画、フェルト、映像、切り株など、多様な表現手法の作品が点在している。
愛知県出身の日置かこさんは、教室の机から約8分の音声メッセージが流れる作品「宇宙人日記」を制作。一宮市から新郷村に来た「宇宙人」が、村の祭りや地域住民との触れ合いを通して幼少期を思い出し、自身の存在について自問自答する内容。実在する伝統行事「キリスト祭」や「UFOを見た」と語る地域住民の存在を例に、「真偽の分からないことに白黒つけず、そのままにしておくことは、ある種の豊かさでは」と投げかける。
最年少の出展者、新郷中学校3年の崎あいさんは、村外から参加したアーティストに新郷村を知ってもらおうと、村内をよく走っているという軽トラックを題材にした。展示室では現在も制作を続けている。段ボールや角材を使った作品で、荷台に自身の思い出の品々を載せていくという。
小比類巻さんも会期中、制作を続ける。このうち、崎さんから着想を得た映像作品は、新郷中学校ソフトテニス部の生徒に同じTシャツを着てもらい、練習の様子を撮影した。当事者にとってはそれぞれが個性ある存在、部外者からは学生の集団に見えるという二面性を持たせることで、「当事者性」を表現したという。
小比類巻さんは「会場では主人公になって、自分自身に起こる出来事として作品を見てもらえれば」と話す。
今後の開催日は、9月19日~21日、23日、26日~28日。開館時間は10時~18時。28日は同村の伝統芸能団体が出演するクロージングイベントを開く。開催時間は16時~18時。入場無料。