八戸藩南部家16代当主の南部光隆さんが2月16日、八戸特派大使に着任した。
三戸南部氏の流れをくむ八戸藩南部家。江戸時代の1664年から1871(明治4)年の廃藩置県まで9代にわたり八戸藩を治めた。光隆さんは現在、15代の匡慶さんと共同当主を務める。2017(平成29)年の就任後、近年はほぼ毎月自宅のある埼玉県から旧藩領を訪れ、歴史を伝える活動を通して市民と交流を深めてきた。分かりやすい解説や笑いを誘うトークが人気を呼び、市民には「殿」の愛称で親しまれる。関東では八戸出身者を中心としたグループ「まるっと八戸藩」を結成。東京タワー(東京都港区)近くの「八戸藩江戸墓所」の修繕活動や、南部氏発祥の地とされる山梨県南部町を訪れるツアーなども行う。今回、当主としての認知度の高まりを背景に八戸市から「ラブコール」を受け、特派大使に着任した。
八戸えんぶりの開幕を翌日に控えた16日、熊谷雄一八戸市長から委嘱状を受け取った光隆さんは「一層意識を高め、八戸藩南部家の視点から見た歴史や文化の伝承、若い世代に八戸に誇りを持ってもらえる活動に取り組みたい」と意欲を見せた。
直後にコミュニティー放送局BeFM(番町)の番組「びびすた」に生出演。当主就任当初は認知度が低く、農民が八戸藩主にえんぶりを披露した名残とされる行事「御前えんぶり」を「人ごみの中でジャンプしながら見ていた」と明かし、笑いを誘った。今年の八戸えんぶりでは、長者山新羅神社(長者1)での神事を拝殿の中から見守ったほか、御前えんぶりを当主席から観覧したという。「えんぶりは作物が無事に育つことを祈る大事な行事。これからも続いてほしい」と話す。
光隆さんは現在、8代藩主信真が導入した伝統武芸「加賀美流騎馬打毬(だきゅう)」の存続に向けた活動にも力を入れる。昨年は講演活動を重ねたほか、南部家主催のトークイベントを開き、当事者の声を市民に届けた。2027年に200周年を迎える騎馬打毬は、乗馬クラブの後継者不在や競技者不足などを背景に存続の危機にあるという。今年から「八戸騎馬打毬会」の顧問に就任し、今後は関係者の一人として継承活動に取り組む。
「連休になれば多くの人が新幹線で関東から東北に来るが、ほとんどの人が仙台や盛岡で降りてしまう。皆さんが八戸駅で降りてくれたらどんなに素晴らしいかと感じている。八戸三社大祭や八戸えんぶりのほかにも、多くの人が八戸を訪れたくなるようになれば」と光隆さん。熊谷市長は「歴史や文化、誇らしさをPRしてもらい、八戸に帰ってくる出身者が増えれば」と話す。