階上町道仏でハンバーガー店「バイツ」とリフォーム・デザイン事務所「オプティマ」を経営する出貝義憲さん・智子さん夫婦。関東から階上に移住し、八戸圏域の人たちと関わりを深めています。リフォーム、デザイン、ハンバーガーという異色の組み合わせの裏にある思いを聞きました。
2024年10月、国道45号沿いの階上町役場前にオープンしたバイツ。サッカーボールを持って来店する小学生や井戸端会議を開く地域住民、赤ちゃん連れの家族が、ハンバーガーやフライドポテトを食べながら過ごす姿が見られます。
Wi-Fiを備えたコワーキングスペースには、仕事や読書をする人の姿も。2人は店の奥にあるリフォーム・デザイン事務所「オプティマ」で、企業の広告、名刺、ロゴデザインや、自宅・店舗の水回り設備や間取り変更、外壁の張り替えなどのリフォーム事業を手がけています。2人は「ハンバーガー」をきっかけに地域とつながりを深め、デザイン・リフォームの活動にフィードバックする日々を送ります。
八戸出身の義憲さんは2018(平成30)年、階上でオプティマを起業。得意な分野は水回りのリフォーム、壁掛けテレビやエアコンの設置など。これまでは自宅で活動を続けてきましたが、ハンバーガー好きが高じてバイツの開業を決意。現在はメニュー開発とリフォーム業を手がける「二足のわらじ」の日々を送ります。
「ハンバーガー店をやっていると、『知っている』『行ったことがある』と言われることもある」と義憲さん。バイツの話題をきっかけに顧客との新しい接点が生まれ、商談もスムーズに行くことが多いそうです。
企業の広告、名刺、ロゴデザインを手がける智子さんは「都市部の仕事も経験したからこそ、地方での仕事に魅力を感じる。自分が作ったロゴやパッケージが商品として店に並んでいるのを見て、うれしく感じる」と話します。
関東、四国、九州などなどで広告代理店や企業と連携し、グラフィックをメインにデザインを手がけてきた智子さん。一つの案件で多くの代理店を挟む都会での仕事は、クライアントの声が自分の耳に届きにくく、「自分のデザインがどのように使われているのかを知る機会も少なかった」と振り返ります。
2022年ごろ、もっと青森のデザインに携わりたいと思うようになり、活動を県内事業者向けにシフト。顧客の声を直接聞きながらデザインに取り組み、完成したものが目の前で使われている実感が得られるようになったといいます。
智子さんは2023年、オンラインデザインツール「キャンバ」公式クリエーターの試験に挑戦。ポートフォリオの提出、グループ面談、デザインの実技試験などを経て合格を手にしました。
起業を考える人や教育機関、商工団体を対象に講座を開き、デザイナーではない人たちにもデザインのコツを伝える活動にも取り組みます。
「専門学校や美大を出ていなくても、実際に手を動かせば誰でもデザイナーになれる。デザインのイベントに行き、実際にデザインを見たり、デザイナーに会いに行ったりするのもお勧め」と智子さん。
ハンバーガー店とデザイン・リフォーム事務所。異業種が同居する空間が、人と人を結び付けている実感を得ている2人。
智子さんは、ハンバーガーを片手にロゴマークやパッケージのデザイン手法を学ぶことができるセミナーを開くこと。義憲さんがレシピ開発を手がけたハンバーガーにかぶりつきながら地域に目を向け、活動の場を広げていくことを描いています。