八戸市を拠点に活動するパフォーマンスグループ・劇団「モレキュラーシアター」とダンスバレエリセ豊島が8月30日・31日、公演「書とダンスのディプティク2019 シヒアカリ:blind brightness」を八戸ポータルミュージアム「はっち」で行った。
「書とダンスのディプティク」としては、昨年8月に続き2回目の公演。今年1月6日に亡くなった演出家の豊島重之さんが生前企画していた公演を、遺志を継ぐ形で上演した。
タイトルの「シヒアカリ(読み:しいあかり)」は、詩人宮沢賢治の文語詩「ながれたり」の一節「盲(しひ)あかり」から。
公演には幼稚園児から80代までの幅広い年齢層が訪れ、ダンス作品は「蝶の木」「ムサカリ」の2作品を上演。「書のLive」では、観客にも張り詰めた雰囲気が広がり、その中で杉本敦子が一気に作品を書き上げた。公開トークでは、近畿大学教授・八角聡仁さんをモデレーターに、詩人・仏文研究者・画家・作曲家等の講師が、「しひあかり―墨の芸術をめぐって」をテーマに語り合った。一見、抽象的で難解に思われるテーマだが、講師陣の柔らかい語り口に、観客席は時折笑い声が広がった。
ギャラリー2では8月30日~9月1日、書の3人展も開催。公演と連動し杉本敦子さんと、豊島さんの父で書家の豊島鐘城さん、兄で画家の豊島弘尚さんの作品を展示した。
ダンスバレエリセ豊島研究所の高沢利栄さんは「公演が終わってホッとしているというのが一番。どうなるか分からない企画に皆さんが力を貸してくださってできたっていうことと、ただ豊島さんを追悼したという形ではなく、企画としても皆さんの力でいいものになったんじゃないかな、という感謝の気持ちがいっぱい」と話す。