八戸三社大祭の山車組関係者で組織するはちのへ山車振興会と八戸市観光課は八戸三社大祭の大型山車を10月14日~17日、八戸まちなか広場「マチニワ」に展示した。
山車は9月21日と22日につがる市で行われた「あおもり10市大祭典 in つがる」に向けて制作したもの。青森県内の10市の祭りが一堂に会す会場で、青森ねぶた、弘前ねぷた、五所川原立佞武多(たちねぷた)などと並んで展示された。
例年同イベントには長横町粋組や吹上山車組など八戸三社大祭で実際に使用した山車を出展していたが、今回は市内27組の山車組の有志が山車組の垣根を超えて合同で山車を制作。長横町粋組の土台をベースに、各山車組から持ち寄った人形や波などの装飾品を山車に施し、オリジナルの山車を完成させた。山車制作には通常3カ月を要するが、今回は9月上旬にスタートし3週間で完成させた。完成した山車のタイトルは「知盛推参(とももりすいさん)」。摂州大物浦(だいもつのうら)から船で逃れようとした義経一行に亡霊となった知盛が襲いかかる場面を描いた。
つがる市では制作に携わった有志40人が祭りばやしを連ねて山車を運行し、八戸三社大祭をPRした。会場ではねぶた関係者との交流もあったという。近年、八戸三社大祭の山車組間では山車人形や装飾品の貸し借りが頻繁に行われているが、かつては「門外不出」としていた組が多かったと言われている。近年のこうした交流の活発化を背景に、今回の合同山車の制作に至った。
マチニワでの展示は、八戸市民にも山車を鑑賞してもらおうと企画。期間中は各山車組の有志がおはやしを披露し、中心街を訪れた買い物客や観光客が足を止めて見入っていた。この山車の展示は今回限りで、八戸三社大祭で運行される予定はない。
はちのへ山車振興会の宮古角洋さんは「情熱あふれる若手制作者がそろい、良い山車が完成した。つがる市では、ねぶた師の北村蓮明(れんめい)さんから八戸の山車に対して驚きの声があり、合同で制作してよかったと感じた。27組の山車組の輪が広がったイベントだったと思う」と話す。