青森県南部町在住の写真家小野昭仁さんが第23回総合写真展で内閣総理大臣賞を受賞し、受賞を記念した写真展2月7日~16日に開かれた。
写真展は八戸彩画堂(八戸市城下1)で実施。小野さんが撮影した風景写真やアーティスト写真など約30点が並んだ。総合写真展は国際文化カレッジが「写真を愛する人々の発表の場」を提供するために写真を広く公募し、受賞作は東京都美術館に展示する。昨年行われた同展には全国から2294点の作品が集まり、小野さんが撮影した「伝説の舞」が最高賞の内閣総理大臣賞に輝いた。
受賞作品は2018年2月17日の八戸えんぶりで撮影。八戸市庁前のステージで横町えんぶり組の太夫の姿をアップで捉えた一枚。太夫の主役である藤九郎が、吹雪の中で空気を切るようにポーズを取った一瞬。うっすらと雪化粧をした衣装、顔には雪が解けた水滴が滴り、太夫の周辺には無数の雪が舞っている。吹雪で機材への負担が心配される中、小野さんは夢中でシャッターを切り続けた。撮影中、良い写真が撮れているという実感があったという。
写真は、トリミングや色の修正などの編集を行わずに出品。審査員からは「一番賞味期限が長い作品。長く見ていても飽きない」などの感想があったという。
小野さんが写真と出合ったのは2012(平成24)年。仕事でバングラディシュを訪れたときに撮影した写真が新聞関係者の目に留まり、少しずつ写真の世界にのめり込んでいった。2016(平成28年)年には経営していた保険代理店やビリヤード場の経営権を譲渡し、写真を生業とする日々が始まった。現在は、プロフィールやブライダル、風景、伝統芸能など、さまざまな場面の写真を撮る毎日。受賞をきっかけに東京からも撮影の依頼があった。
山形県出身。現在は南部町在住で、八戸市内の2つの写真グループに所属している。青森県について、「北海道に対抗しうるほどの魅力がある」と話す。「この写真がここまで注目される写真になるとは思っていなかった。本当に驚いた。郷土芸能や文化、風景など、青森を知ってもらうために写真を撮り続けたい。郷土芸能や風景などを切り取っていく中で、青森県を発信していきたい、取り組む人々を応援したいという気持ちになった」とも。
受賞作品は今月20日まで、八戸ポータルミュージアム「はっち」(三日町)に展示されている。