八戸地域の飢饉(ききん)の資料を集めた特別展「飢渇の郷土史 八戸ケガジ録」が7月4日から、八戸市博物館(八戸市根城)で開かれている。
「ケガジ(けかち)」とは飢饉のことで「飢渇(きかつ)」が訛(なま)った言葉という説もある。八戸地域は、度重なるヤマセによる冷害などの自然災害から、古くから凶作、飢饉に見舞われてきた。江戸時代には、元禄・宝暦・天明・天保の飢饉(東北四大飢饉)のほか、冷害と獣害による「猪ケガジ」にも見舞われている。
厳しい風土の中で、度重なるケガジを経験した先人たちは、藩の記録や、寺社の供養塔、領民の私記などに記録を残している。今回の特別展では、それらの資料約220点が並べられている。資料のほかに、命をつなぐための「かてもの(救荒植物)」や先人たちの知恵や工夫が凝らされた機具も展示されている。会期中土曜には学芸員によるギャラリートークも開かれる。
同館学芸員の山野友海さんは「新型コロナウイルス感染症の影響で、展示内容やイベントなど、一部変更したところもあるが、八戸市内のたくさんの郷土資料をもとに、中身の充実した展示になった。市立図書館が持つさまざまな郷土資料のほか、個人所有の県重宝『市川日記』も展示することができた。これから夏休みにもなるので、ぜひ郷土の勉強をしに来てほしい」と話す。
開館時間は9時~17時。期間中の休館日は7月13日・20日・27日、8月11日・17日。入館料は、一般=300円、大学生・高校生=150円、中学生・小学生=50円(八戸市内の小中学生は無料)。8月23日まで。