八戸の歴史や四季折々の表情を踊りで表現する「八戸風物詩」と「かたづのと清心尼(せいしんに)~根城南部の悲哀~」の公演が11月22日、八戸市公民館(八戸市内丸)で開かれた。
同公演は、9月6日に青森県民文化祭のオープニングフェスティバルで行われた公演のアンコール公演。新型コロナウイルスの感染対策の中で行われた県民文化祭では関係者向けに公演。公演を見ることできなかった人や再演を望む声があったことから、実行委員会を立ち上げ、開催にこぎ着けた。
公演は、踊りを披露する「八戸風物詩」と舞踊劇「かたづのと清心尼」の2部構成。八戸風物詩では、八戸市内で活動する長唄、モダンバレエ、日本舞踊、沖上げ音頭などの団体が、八戸の春夏秋冬をイメージしたステージを展開。このうち、白銀沖上音頭ではメンバー6人が和太鼓のリズムに合わせて披露。歌詞の一部を「コロナ退散」にして歌い上げ、観客から割れんばかりの拍手が送られた。
「かたづのと清心尼」は、中島京子さん作の小説「かたづの!」を題材にした、踊りと歌を織り交ぜた演劇。脚本は八戸市公民館の柾谷伸夫館長が書き下ろし、劇中の音楽は八戸市内で作曲活動を展開する嵯峨(さが)昭彦さんが担当した。主役の清心尼は日本舞踊家の泉彩菜(あやな)さんが演じた。かつて八戸に実在した根城南部氏第21代の女性当主清心尼が遠野に領地替えするまでの物語。角が一本しかないカモシカ「かたづの」との出会いから物語が始まり、盛岡南部家の利直の重圧に耐えながら八戸の地を守り、領民の命を守るために領地を遠野へと移すまでを描いた。日本舞踊、かっぽれ、モダンバレエなどの要素に八戸市内の風景をとらえた映像や照明効果を織り交ぜ、物語を展開した。
構成を担当した泉紫峰(しほう)さんは「みんなの気持ちが一つになり実現した。八戸・南部を守った清心尼という素晴らしい人物を、舞踊劇で浸透させたいと思った。今日は遠野市からも招待客が来る予定だったが、感染状況の影響でかなわなかった。その思いも受け止め、交流を深めていきたい」と振り返った。
当日の会場入り口では、入場時の検温や手指の消毒のほか、来場者にはマスクの着用を呼びかけ、新型コロナウイルス感染拡大の防止に努めた。