八戸工業大学が空き家を活用したプロジェクトの一環として1月8日から、感性デザイン学部創生デザイン学科4年生の卒業制作の公開制作を実施している。
公開制作は八戸市本八戸駅前通りの「内丸サテライト(通称アキヤプ)」で実施。内丸サテライトは2019年度から工学部土木建築科と感性デザイン学部創生デザイン学科の学生が空き家を改修し、2020年度からは改修を進めつつ、同大の研究室や情報発信の場として活用されている。昨年秋からは創生デザイン学科4年生の卒業制作の一環として、作品展を実施するなどしてきた。
同学科4年生には46人の学生が在籍。38組のグループに分かれ、10組が卒業論文、28組が卒業制作の完成に向けて励んでいる。公開制作は学生の研究活動を後押ししようと企画されたもの。
初日の8日は、同学科で住環境デザインを学ぶ中村緑夢(ぐりむ)さんが公開制作を実施。板や塗料などを使って、作品を展示するための台を制作した。中村さんは、ガラスと苔を組み合わせたプロダクトデザイン「-arium(リウム)」を制作。奥入瀬渓流に自生するコケから着想を得たガラス製品で、植物が球体上のガラスの上に自生する様子を観察することができるという。「リウム」は生物を容器で飼育する「テラリウム」「アクアリウム」などからヒントを得て、「特定の機能を持つ装置」という意味で名付けた。ガラス製品の制作に当たっては、ガラス工芸作家の指導を受けるなどした。中村さんは「インテリア雑貨や観葉植物に興味がある人が生活の中で苔や植物の存在を感じられるようにした」と話す。「自然環境の山景や水景を、自宅で簡単に再現できるプロダクトを目指している」とも。
新型コロナウイルスの感染拡大が収束を見ない中、学生は感染対策を取りながらの研究作業を強いられた。多くの学生が卒業制作の完成に向け励んでおり、同学科では、感染状況を注視しつつ、2月中旬には学生たちの研究の成果を公開したいとしている。
同学科講師の皆川俊平さんは「このスペースは、学生たちと一緒にサテライトキャンパスを作っていこうと取り組んでいる場所。新型コロナウイルスによって人と人との関りを持つことが難しい状況が続いている中で活動を続けてきた学生たちを、見守ってもらえたら」と話す。
公開時間は13時~17時。来場時にはマスク着用、会場設置のアルコールで手指消毒の上入場。混雑時に入場制限あり。今月15日まで。