八戸のカネイリミュージアムショップ(八戸市三日町、TEL 0178-20-9661)で2月25日、三菱製紙八戸工場(河原木)の紙を使った書籍フェア「三菱製紙八戸工場でつくられた本フェア」が始まった。
三菱製紙八戸工場産のベストセラーと共に工場撮影ファンの写真が並ぶ
期間中、同工場の紙で作られた書籍約15点を展示販売。併せて、東日本大震災による同工場の被災時の様子を示すパネル7点と八戸工場撮影ファンクラブのメンバーが撮影した工場写真のパネル6点も展示している。
同工場は八戸の臨海部に位置し、関連会社を含めると約2000人が働いている。東日本大震災で同工場は約116億円の被害を受け、完全復旧には8カ月の期間を要した。
東京ドーム42個分の敷地に広がる同工場の設備群や付近に着岸する紙の原料となるチップを積んだ大型船は工場撮影ファンの人気スポットにもなっている。
同フェアで展示している書籍には、第二次世界大戦のドイツ強制収容所の様子を描き世界的なロングセラーのヴィクター・フランクル「夜と霧」(みすず書房)、村上春樹さんの「1Q84(文庫版)」(新潮社)、2012年の本屋大賞1位の三浦しをんさんの「舟を編む」(光文社)、八戸を舞台にした森沢明夫さんの「ライアの祈り」(小学館)など、ジャンルや発売年代もさまざまなベストセラーが並ぶ。
同工場事務部総務課の小田幸司さんは「私たちが製造している紙が、いろいろな書籍に使ってもらっているということを知ってもらうとてもいい機会。これを機に工場に親しみを持ってもらえれば」と話す。「以前は工場見学に来た人たちには、『宮沢りえさんの写真集「サンタフェ」もこの工場の紙でできています』が持ちネタだったが、最近の小中学生には通じないので『1Q84』など、いろいろ変えている」と苦笑いする。
フェアに来場していた市内で飲食業を営む金澤正博さんは「ここにある書籍が八戸の工場で作られた紙でできているとは知らなかった。とても驚いたと同時に誇らしい気持ち。本を読むときにも愛着が湧く」と興味深そうに眺めてていた。
営業時間は10時~19時。入場無料。3月4日まで。