地域の伝説を絵本にした「龍になったおしょうさま」を届ける企画に現在、寺院「普賢院」(八戸市豊崎町、TEL 0178-23-2135)が取り組んでいる。
同寺院は平安時代から1200年余りの歴史があり、十和田湖伝説に関する伝承を記した写本「十和田山神教記」が残されている。企画ではこの写本に記された伝説をもとにした、十和田湖伝説の物語「龍になったおしょうさま」を制作。十和田神社に龍神として祭られる南祖坊の物語を絵本としてまとめ、クラウドファンディング支援者に届ける。
絵本では、僧侶・南祖坊が二代目住職・月法律師の下で修業した後、50年ほどの旅の末に十和田湖に行きつき、それまでに経験した苦しみや後悔から学びを得て龍神になる物語を描く。挿絵は書家・在家渓静さんが手掛け、淡い色合いのイラストと子どもにもわかりやすい物語で地域に伝わる伝説をつづっている。巻末には、伝説が残る場所の地図や南祖坊の歩みの年表、伝説に関する写真資料のほか、同寺院の御朱印を残すことができるページなどの読み終えた後の楽しみも用意した。
絵本はクラウドファンディング形式で支援を募り、12月以降に支援者の元に届ける。支援額に応じて返礼品を用意。3,000円は南祖坊ゆかりの紙製の札、5,000円は木製の札、10,000円は大型の木製札など。全ての支援者に送る絵本には、支援者の名前が記される。寄せられた資金は、絵本等の製作費や送料のほか、アーユス仏教国際協力ネットワークにも寄付して国際協力活動に役立ててもらう。
同寺院では、「正義のヒーローが悪者を懲らしめる話ではなく、人々の苦しみに寄り添い他者を思いやる優しい物語を通して、地域の歴史に関心を持ってほしい」と支援を呼び掛ける。
副住職の品田泰峻さんは「仏教で龍は、良い龍と悪い龍があるというが、南祖坊は人々に良い事をもたらす龍神。郷土が誇る伝説を未来に託すために、時代に即した形で取り組んでいきたい」と話す。
支援は電話やメール、SNSのメッセージで受け付ける。