ゲストハウス「トセノイエ」(八戸市吹上3)が10月22日、八戸の住宅地にオープンした。
経営する鈴木美朝(みのり)さんは十和田市出身の27歳。今年3月に関東での勤務先を退職。13年前に亡くなった曾祖母トセさんの自宅を改修し、「国内外の旅人が八戸の暮らしを体験できる宿」として開いた。
改修工事の資金調達にはクラウドファンディングを利用。147人から132万8,000円の支援が集まり、台所の床の貼り替えや壁の再塗装、備品の購入などに活用した。
施設名はトセさんの名前にちなむ。トセさんは自宅で煎餅やあられなどの和菓子を売って生計を立てていた。夏休みなどは遠方の親戚などが集まり、鈴木さんにとって「笑顔あふれる居心地の良い場所だった」という。
施設には感想を書きこむノートやおすすめの飲食店を紹介できるマップなどを置き、宿泊者同士の交流を促す。岩木山のイラストや、南部菱刺しのタペストリー、「スタミナ源タレ」の文字が入った座布団、八戸市、青森市、弘前市の観光パンフレットなど青森県ゆかりの装飾や資料も設置し、青森県のPRにつなげる。「昭和」にもこだわり、手回し式の振り子時計や黒電話などを装飾品として置いた。
20代前半の頃にアメリカでの長期留学やイタリアでのインターンシップを経験。個人的に出かけたヨーロッパの一人旅では1か月半をかけて各地を巡り、ゲストハウスやドミトリーを転々とした。これまで国内47都道府県、世界17カ国を旅した。旅を通じて「日本語が通じない場所や知らない土地で過ごすことで、現地の人と触れ合う楽しさを知った」と言い、地元・青森県でのゲストハウス開業を考えるようになった。
鈴木さんは「八戸に暮らすように泊まってみたいという人に利用してほしい。八戸の人も気軽に立ち寄って、八戸のことを教えてほしい。旅行者と地域の人がつながるきっかけになれば」と語る。
施設は男女共用の6畳間1部屋、女性専用の6畳間1部屋、浴室、台所、洗濯機などを備え、最大6人まで宿泊できる。貸し切り利用は1泊2万円。相部屋利用は1人1泊5,000円。当面はウェブサイトを設けず、インスタグラムとフェイスブックで予約を受け付ける。
八戸市吹上3丁目9-49。八戸市中心街からは徒歩15分、吹上バス停留所からは徒歩8分。駐車場はない。