青森県・岩手県の方言「南部弁」を通して交流を深める「第10回南部弁の日 正部家種康忌」が12月3日、市立江陽公民館(八戸市江陽2)で開かれる。
イベントは郷土史家の正部家種康さんが2012(平成24)年12月6日に亡くなったことを受け南部弁の継承活動を通し地域文化への理解を深めようと始まり、今回で10回目。正部家さんは八戸市博物館の初代館長を務め、八戸童話会会長、旧八戸観光協会会長などを歴任。「みちのく南部八百年」「歴史と伝説 南部昔語」「南部昔コ」などの書籍や語り部の活動を通し、旧八戸藩領・旧盛岡藩領の歴史や昔話、伝説を発信し続けた。今年は八戸童話会の活動100周年の節目に当たる。
八戸童話会の柾谷伸夫会長は、八戸市中心街周辺で使われる「まち言葉」の南部弁を話した正部家さんについて、「優しい南部弁で昔語りをする達人だった。郷土史家として昔コ(昔話)や郷土史を収集し、義経伝説や八戸藩など八戸に関わる歴史や昔話の本を数えきれないほど遺した」と振り返る。
今回は、八戸童話会、市立江陽中学校の生徒のほか、「十和田こま草の会」(十和田市)、「岩手・釜石漁火の会」(岩手県釜石市)など、語り部活動に取り組む団体が出演。青森県~岩手県南地域の広範囲で使われている南部弁を紙芝居や昔話で披露。地域ごとに異なる南部弁の特徴を紹介し、世代間・地域間での南部弁の継承につなげる。津軽地方からは昔話の伝承活動を展開する「津軽北の会」が参加し、津軽弁の昔話を紹介。南部弁と津軽弁の聞き比べを通して、文化圏の異なる南部地方と津軽地方の相互理解と交流を図る。
イベントに出演する八戸童話会事務局長の関下斉さんは「江陽公民館に方言の物語を伝える団体が集合する。なかなか聞く機会がないと思うので、ぜひ来て方言を浴びてほしい」と来場を呼びかける。
開催時間は13時30分~15時30分。入場無料。申し込み不要。先着50人限定。問い合わせは南部弁の日実行委員会事務局(弘前学院大学、TEL 0172-34-5211)まで。