東北新幹線八戸駅が開業から20周年の節目を迎えた12月1日、青森県を代表する南部民謡「八戸小唄」のメロディーが新幹線ホームの発車メロディーに採用された。
東北新幹線八戸開業20周年の節目に合わせ「VISITはちのへ」などの関係団体が導入を求め、同日からホーム内での放送を始めた。
11・12番線で行われたセレモニーには、熊谷雄一八戸市長、塚原隆市VISITはちのへ理事長、久保公人JR東日本盛岡支社長、吉田真樹八戸駅長や市内の観光団体、八戸市文化協会所属の日本舞踊家など関係者が出席。八戸市公式のマスコットキャラクター「いかずきんズ」の「こうみちゃん」も駆けつけた。日本舞踊家が八戸小唄の舞を披露した後、9時5分発「はやぶさ14号」東京行きの発着に合わせ三味線調にアレンジされた八戸小唄が流れ、関係者らは乗客に手を振った。
八戸小唄は、1929(昭和4年)に八戸町、小中野町、湊町、鮫町が合併して八戸市が誕生したことを契機に、市制施行に尽力した神田茂雄市長らの呼びかけで1931(昭和6)年10月に作られた。「鮫(さめ)の岬は潮けむり」「城下二万石菊の里」など、歌詞には旧八戸藩の歴史や港町八戸の情景が描かれており、八戸圏域では盆踊りの定番曲として親しまれるなど、青森県を代表する民謡として90年にわたって伝承されてきた。
例年7月に開催される「八戸七夕まつり」「湊橋八戸小唄まつり」の流し踊りでは大勢の市民が八戸小唄の舞を披露するほか、「八戸三社大祭」では行列を締めくくる「華屋台」で日本舞踊家の舞と共に演奏される。八戸ではビッグバンドがジャズアレンジで演奏したり、吹奏楽行進曲「マーチうみねこ」でメロディーが採用されたりしているほか、民謡ユニット「ネオバラッド」がテクノ音楽調にアレンジして発売するなど、ジャンルを超えて受け継がれている。
南部八戸の歴史と発展と共に歩んだ八戸小唄が青森県南地方・岩手県北地方の玄関口の発車メロディーに採用されたことについて、熊谷市長は「八戸小唄が八戸を旅立つ人を迎え、八戸を旅立つ人を見送る。先人に思いをはせ、関係者の英断に感謝」と話す。
今後、11・12番線では三味線調、13・14番線ではシンセサイザー調の八戸小唄が放送され、八戸を訪れる観光客やビジネス客、帰省客を出迎える。13・14番線では、蕪島の風景を思わせるウミネコの鳴き声も流れる。
導入を求めて関係各所に声がけを行ったVISITはちのへの塚原理事長は「上りと下りでイメージが異なるので、八戸を訪れた人に喜んでもらえるのでは。90年の歴史を誇る八戸小唄の歌と踊りは市民に根付いている。節目の年にメロディー化したことを契機に、関係団体と一緒になってこのエリアのまちづくりに継続的に取り組んでいきたい」と意気込む。