AIBA男子ボクシング世界チャンピオンの坪井智也選手が12月2日、八戸工業大学第一高校(八戸市白銀町)ボクシング部で特別講習を行った。
日本ボクシング連盟に加盟するボクシングジム「エグゼラボBoxing GYM」(南部町苫米地)が主催。坪井選手がX(旧ツイッター)で実施した「愛用シューズプレゼント企画」に同ジムが応募し、当選。同ジムの工藤育子代表が坪井選手に同校での講習を依頼し、実現にこぎ着けた。
坪井選手は浜松市出身。日本大学卒業後の2018(平成30)年から自衛官になり、現在は自衛隊体育学校ボクシング班に所属している。2021年11月、セルビア・ベオグラードで開催された世界選手権のバンタム級に出場。日本人初となる金メダルを獲得した。今年11月の全日本選手権フライ級決勝でも優勝し、パリ五輪世界最終予選の出場権を獲得している。
同校で開かれた講習は入念なストレッチ、シャドーボクシングから始まった。2人一組で技の流れを確認し合う「条件マスボクシング」には坪井選手も参加。世界チャンピオンからの「打つことより足を意識」との指導に、部員らは目を輝かせながら懸命にパンチを繰り出した。予定されていた2時間を過ぎても、部員たちの打つサンドバッグの音が続いていた。
講習後、参加した同部キャプテンの赤坂拓真さんは「ここで教えてくれたことを生かし全国を目指す」、部員の下浅永久(とわ)さんは「大学で全日本を目指すのでトップレベルの技を自分のものにするチャンス」、畠山貫(とおる)さんは「この練習で自分に足りないところを見つめ直したい」と話した。
同部監督の鳥谷部諒佑教諭は「坪井選手がいつも派手なことではなく細かいことを徹底して練習することで世界を取ったということが、部員に伝わったと思う。今後の指導にも生かしたい」と話す。
坪井選手は「頑張っている高校生を見て、日本を代表させてもらっている自分も、より頑張らなければと改めて思えた。呼んでくれてありがたかった」と笑顔を見せた。