コミュニティースペース「喫茶ヘバナ」が12月1日、鍛冶町通りバス停前の総菜店「京華(きょうか)part III」(八戸市鍛冶町)内にオープンした。
八戸市鍛冶町地区の上舘せんべい店(類家)が早朝に営業していた「せんべい喫茶」が11月20日に閉店したことを受け、ゲストハウス「トセノイエ」(吹上3)を運営する鈴木美朝(みのり)さんがオープンした同店。せんべい喫茶から引き取ったテーブル、パイプ椅子、ソファ、コーヒーメーカー、コーヒーカップなどを使い、同店の面影が感じられるようにした。コーヒー、甘酒のほか、京華 part IIIの店主・田村圭さんが腕を振るうせんべい汁、おにぎり、唐揚げ、コロッケなどを提供する。バス停の利用客にも立ち寄ってもらおうと、テイクアウトにも対応する。
「朝からせんべいとコーヒーを楽しみながら交流する八戸の素晴らしいコミュニティーを守りたかった」と鈴木さん。上舘せんべい店が1991(平成3)年から約33年営業を続けたせんべい喫茶は、店主の上舘一雄さんが焼く名物の「てんぽせんべい」と妻の京子さんが入れるコーヒーを求めて集う常連客の情報交換の場として親しまれた。鈴木さんは「こういうことはスピード感が大事」と、田村さんや20~30代の知人に相談し、せんべい喫茶の閉店から10日でオープンにこぎ着けた。
初日の1日には、せんべい喫茶に通い続けた地域住民や鈴木さんの知人が駆け付け、あいさつを交わしたり、談笑したりするなどして新たな交流拠点のスタートを祝った。鈴木さんは「店に入った瞬間に『この家具やコーヒーメーカー、見覚えがある』と話す人もいて、新しい店なのに懐かしさを感じてもらえた」と笑顔を見せた。
「へばな」は南部弁で「また会おう」の意。英語で「良い一日を」を意味する「Have a nice day」と「へばな」の響きを重ね合わせて店名にした。運営を手伝うアーティストの高砂充希子さんはアメリカで生活した経験を念頭に「アメリカでは出勤の時にコーヒーを買うと『Have a nice day』と応援されることが多かった。この店も、朝に元気をもらえる場所にしていけたら」と話す。
鈴木さんは同地区で活動する八戸三社大祭の山車組「鍛冶町附祭(つけまつり)若者連」のはやしにも参加するなど、地域住民と交流しながら同地区の活性化を模索する。「鍛冶町は昔、商店や工場が並び、歩いているだけで楽しい場所だったと聞く。今は状況が変わってしまったが、少しその名残を感じる。この喫茶をいろいろな世代が交流できる場所にしていきたい」と話す。
営業時間は6時~9時。日曜定休。