八戸市美術館(八戸市番町)の屋外広場「マエニワ」に設置されたステンレス製の館銘板の一部の文字が現在、スチレンボード製のものに置き換えられている。
SNSで「発泡スチロールだ」と話題になっているのは、青森県道23号沿いのコンクリートの壁面に設置されたステンレス製の「八戸市美術館」の「美」の部分。4月15日現在、「美」だけがスチレンボードでかたどった手作りのものになっている。
3月11日夜、同館の警備員が巡回した際に「美」がなくなっていることに気づいた。当時、マエニワには2月下旬に降った大雪の影響で雪が多く残っていた。副館長の宗石さんは「解けた雪の中から(『美』が)出てくることも期待したが、出てこなかった。辺りを捜しても落ちていなかった」と話す。
3月31日、八戸在住のkohchinさんが「美」がなくなった館銘板の写真をXに投稿し、同市在住のモブヘーナさんが「もしやこれもアート作品の一部なのかも」と引用リポストすると、「秘術館」「施術館」「柔術館」などの返信があった。
スチレンボード製の「美」は4月3日朝に設置された。同日、モブヘーナさんがXに「あ!『美』だ!『美』が帰ってきてる!」「実物と比べても遜色のない緻密なカッティングがすばらしい」(原文のまま)と写真付きで発信。4月15日現在、125リポスト、455いいねの反応がある。
スチレンボード製の「美」は、同館の佐藤慎也館長が製作した。「館長が建築を専門とするスキルを生かして作ってくれた」と宗石さん。日本大学理工学部建築学科の教授や一級建築士としての顔を持つ佐藤館長は、同館主催の企画展を検討する際、スチレンボードを使って展示模型を作るという。
佐藤館長は同館に月4~5日出勤するほか、オンラインで同館の運営について助言している。4月2日の朝に出勤すると、館銘板の大きさに合わせた「美」を印刷するよう学芸員に指示。佐藤館長はそれをのり付きのスチレンボードに貼り、カッターで切り、表面を黒く塗って完成させ、壁面に貼り付けた。表面のみを塗ったのは、板状の『美』に見せるためだという。書体は同館のロゴと同じものを使った。
宗石さんによると、「美」は4月中をめどにステンレス製のものに置き換える予定。