青森県の教育版画を紹介する企画展「風のなかを飛ぶ種子 青森の教育版画」が現在、八戸市美術館(八戸市番町)で開催されている。
1930年代に始まった青森の教育版画の歴史と系譜を紹介する同展。5つのテーマに分け、版画教育に関わった版画家や県内の美術館や郷土館が所蔵する版画作品約250点を展示する。
同展を企画した同美術館の学芸員・高橋麻衣さんによると、全国でも指折りの活動を見せた青森県内の「教育版画運動」は1990年代まで続き、さまざまな作品が生まれたという。「中にはスタジオジブリ作品『魔女の宅急便』の劇中画のモデルとなった『星空とペガサスと牛が飛んでいく』といった作品もあった」と高橋さん。
目玉作品の「虹の上をとぶ船」シリーズは、縦1メートル・横2メートルの版画作品8枚の「総集編I・II」と縦2メートル・横4メートルの「完結編」も展示する。高橋さんは「八戸の中学校などで美術を指導した坂本小九郎さんの集大成とも言え、すべての作品を一堂に展示するのは2004(平成16)年以来20年ぶり」と話す。
会期中は関連イベントを開催する。11月4日には町田市立国際版画美術館の学芸員・町村悠香さんを招いた講演会や、11月9日・12月1日は銅版画(ドライポイント)を制作するワークショップ、11月17日には「坂本先生を語る」と題した坂本さんの教え子による座談会を開く。いずれも事前申し込みが必要。
高橋さんは「展示している作品には青森の風景や地域ならではのメッセージが込められている。生徒たちの合作の絵には一つ一つに意味があり、見る人によってさまざまな解釈があってもいい。青森の人たちだからこそ見てほしい」と呼びかける。
開館時間は10時~19時。火曜休館。観覧料は一般=1,000円、大学・専門学校生=500円、高校生以下無料。2025年1月13日まで。