みその醸造所をリノベーションした交流拠点「Cafe and HASH BA わたしの素(ス)ペース」(階上町道仏)が10月20日、オープンした。
階上駅から約300メートルの場所にオープンした同施設。階上出身の上野莉歩さんが、かつて商店が軒を連ねた駅周辺地区に集いの場を作ろうと、れんが造りの蔵を買い取り、クラウドファンディングで集めた約200万円を使って改修。開業にこぎ着けた。
床面積は約30坪。座席数は約20席。2~6人用のテーブル席や1人用の席を用意する。Wi-Fiや電源コンセントを備え、仕事や勉強でも使えるようにした。キッチンカーで、コーヒー(400円)や自家製のジンジャーエール(450円)などドリンクのほか、金曜・土曜・日曜にはみそを使ったキーマカレー(900円)を提供する。
現在27歳の上野さんは大学時代にカフェでのアルバイトを経験し、卒業後は県外の企業で教育コンテンツの制作やマーケティングに携わった。SNSや生成AIの発展で人々が受け取る情報量が多くなる中、家庭、職場、学校とは異なる「サードプレイス(第三の居場所)」を提供することの大切さを感じていたところ、駅周辺地区で1940(昭和15)年ごろからみそ、しょうゆを製造した北澤商店が2017(平成29)年に廃業し、醸造所の譲渡先を探していることを知ったという。同施設には、れんが造りの外観や製造設備の一部、天井の梁(はり)など、醸造所の面影を残した。
施設名の「HASH」は英語で「寄せ集め」の意。「HASHIKAMI」の頭文字4文字と重ね合わせた。「空間」「場所」を意味する「素ペース」は、「自分のペース」の意味を込めて「スペース」の頭文字を「素」に置き換えた。「世代や職業などを問わず、いろいろな属性の人が自然とつながり合ってほしい」と上野さん。
オープンを迎えた20日は、タブレット端末を持ち込んで仕事をする人や、キーマカレーやドリンクを楽しみながら上野さんと会話する地域住民の姿が見られた。今後は、映画上映会、セミナー、手芸のワークショップなどを開くことも検討しているという。
上野さんは「大人になってから気付く地元の良さがある。階上駅の周辺はシャッターが閉まったままの店が多くなった。自分たちの力で地元を良くするための『作戦会議』ができる場所を目指したい」と話す。
営業時間は11時~21時(日曜は16時まで)。営業日はインスタグラムで知らせる。