青森県を代表する冬の祭り「八戸えんぶり」が2月17日に開幕するのを目前に控え、八戸市十日市地区の「東十日市えんぶり組」では、名物演目の「恵比寿(えびす)舞」の練習に熱が入る。
鮮魚店の前で恵比寿舞を披露する土澤さん(写真提供=こなんぶ)
旧八戸藩領を中心に伝承される伝統芸能「えんぶり」は、烏帽子(えぼし)をかぶった太夫による稲作を表現した舞いや、大黒や恵比寿に扮(ふん)した子どもたちが舞う祝福芸が見ものになっている。同えんぶり組の小町幸秀さんは、34年にわたり恵比寿舞を担当するベテラン。例年、観客を巻き込みながらタイを釣ったり、せりふにアドリブを加えたりするパフォーマンスが市民や観光客の注目を集め、名人の一人として知られる。2024年、陸奥湊駅前の飲食店で恵比寿舞を披露した際には、観客をタイに見立てて釣り上げ、笑いを誘っていた。
小町さんは現在、2人の後継者の指導に熱を入れる。「小町さんの指導は厳しくもあるが、時に優しく面白い。師匠にずっと付いていく」と話すのは、29歳の林祐太さん。小学2年の頃に「松の舞」で同えんぶり組に参加。小学5年の時、小町さんの姿を見て恵比寿舞をやってみたいと考えるようになった。約10年、小町さんから恵比寿舞の指導を受けてきた。本番では、大きな体で声を張って口上を述べ、縦横無尽に動き回る姿を見せる。「楽しい演目。真面目な顔をしていては笑ってもらえない。観客に笑ってもらえた瞬間にやりがいを感じる」と話す。
中学2年の土澤珀(はく)さんは、小学6年で同えんぶり組に参加。林さんと同じく、小町さんのコミカルな恵比寿舞に憧れるようになった。2月2日の練習では、大人たちに見守られながら恵比寿舞を舞った後、「せりふに抑揚をつけるともっと良くなる」とアドバイスを受けていた。せりふは早口にならないよう気を付けているという。「小町さんは新しいことを教えてくれる。本番では釣りざおを使って舞う場面を見てもらえたら」と話す。
「2人には期待している」と小町さん。「恵比寿舞は感覚で演じている部分が多い。基本の形は教え、後は演じる人のカラーがどう出せるか。自分で考え、視野を広げてくれたら」と目を細める。
同えんぶり組は2月19日、八戸市市庁本館前市民広場(八戸市内丸)で開かれる「かがり火えんぶり」(20時~)に出演する。