八戸の「大慈寺(糠塚)」(八戸市長者1)本堂、山門・経蔵が8月20日、青森県の県重宝(建築物)に指定され27日に指定書交付式が行われた。
福聚(じゅ)山大慈寺は延宝年間(1673-1681)に創立され、現行の伽藍(がらん)は1805(文化2)年に本堂を再建したことに始まり、1831(天保2)年に山門、1858(安政5)年に経蔵が建立された。山門と経蔵は1963(昭和38)年に八戸市の文化財に指定されている。
本堂は1805(文化2)年再建の棟札が残り建築年代が明確で、本堂内部の和様の意匠は青森県内にない。山門は1831(天保2)年の棟札が残り、建築年代及び棟梁が明確で、下層中央の琴柱花頭(ことじかとう)の形式を取る通路は全国にも例がないと言われている。経蔵も1858(安政5)年建立の棟札により建立の発起から完工までの経過が明確で、東北でも極めて少ない大型経蔵であることが評価され指定に至った。
青森県教育庁文化財保護課は「大慈寺の山門、本堂、経蔵はその意匠(様式)が青森県内には他にないということで、文化財保護審議委員会への答申を経て指定となった。さらに保存に努めてもらうとともに、せっかくの文化財なのでより多くの皆さんにご覧いただくなど、活用にも合わせて努めてもらえればありがたい。市民の皆さんにも見てもらって、保存などにご協力いただければ」と話す。
大慈寺住職の吉田隆法さんは「県重宝の指定は大変名誉なこと。相応の覚悟もしていかなければならない。今回の重宝指定を若い人にもわかりやすく説明板を設置するなど考えている」と気を引き締める。