八戸の冬を彩る伝統芸能「えんぶり」について語り合う座談会が1月19日、交流拠点「わたしの素(ス)ペース」(階上町道仏)で開かれた。
2月に開催される祭り「八戸えんぶり」や「階上早生えんぶり祭り」に向けた機運を高めようと、階上町で活動する田代えんぶり組、平内えんぶり組、鳥屋部えんぶり組の関係者6人が登壇し、各組の歴史や演目の見どころなどを紹介。詰めかけた約50人の市民が聞き入った。
同町で唯一、古い型の舞とされる「ながえんぶり」を伝承する平内えんぶり組の関係者は、1818(文政元)年、百目木安太郎と呼ばれる人物が八戸の横町えんぶり組から舞を習ったことが同組の始まりとされていることに触れた。八戸えんぶりに参加する約30組の中で7組だけが担う「御前えんぶり」に指定される同組には、笛の名手とされた安太郎が八戸藩主から授かったと伝わる笛が現存しているという。
鳥屋部えんぶり組の関係者は、同組の名物の一つ「豆太夫(まめだゆう)」を紹介。多くの組では烏帽子(えぼし)をかぶって舞う「太夫(たゆう)」を中学生以上の男性が担当する中、同組では未就学児が見よう見まねで舞を覚え、本番では小さな烏帽子をかぶって舞うかわいらしい姿が見られるという。
田代えんぶり組の男性は、継承している組が少ないという演目「御(ご)祝い」について触れた。同組には「御祝い」の記録映像が残っており、復活させることを目指しているという。
司会者がえんぶりの経験のない大人への指導方法について尋ねると、関係者が酒を飲むような仕草をしながら「これ」と答え、来場者の笑いを誘う場面もあった。「大それた気持ちで考えるよりも、えんぶりが好きだという気持ちが大事」と関係者。
座談会の後は3組のメンバーが入り乱れてお囃子(はやし)を披露し、会場は一足早く、春の訪れを祈る音色やリズムに包まれた。
同施設でイベントの企画を担当し、自身も田代えんぶり組で活動する内城晃代さんは「えんぶりについて知ってから祭り当日を迎えるとより楽しめると思い企画した。これをきっかけに、八戸のえんぶり組にも声をかけて『お囃子セッション』を行う日があっても良いと思う。階上のえんぶりが盛り上がり、3組が一緒に発展するきっかけになれば」と話す。
階上早生えんぶり祭りは2月2日、わっせ交流センター(平内)で開かれる。時間は11時~14時。入場無料。八戸えんぶりは2月17日~20日、八戸市中心街をメインエリアに開かれる。