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八戸市美術館の館銘板、「美」の字以外も発泡スチロールに 館内に展示へ

「美」の字以外を発泡スチロールで作る佐藤館長

「美」の字以外を発泡スチロールで作る佐藤館長

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 八戸市美術館(八戸市番町)の佐藤慎也館長が2月1日、同館の屋外広場「マエニワ」に設置されたステンレス製の館銘板の「美」の字以外のレプリカを制作した。

完成した「八」「戸」「市」「術」「館」の字を前に笑顔を見せる佐藤館長

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 佐藤館長が発泡スチロールで完成させたのは、「八戸市美術館」の館銘板のうち、「美」以外の「八」「戸」「市」「術」「館」の5字のレプリカ。マエニワに設置された館銘板と同じ書体、サイズ。八戸在住のアーティスト山本耕一郎さんが昨年SNSで話題になった「発泡スチロールの美」から着想を得て制作するアート作品「美のない美術館」の一部として使われるという。同館が2月15日から開く展覧会「八戸アーティストファイル2025 Finding Our Beauty」に合わせたもの。

 同館では昨年、佐藤館長が発泡スチロールで制作した「美」の字が話題を呼んだ。昨年3月11日夜、同館の警備員がマエニワを巡回した際、青森県道23号沿いのコンクリートの壁面に設置されたステンレス製館銘板の「美」がなくなっていることに気づいた。同館では当時、周辺に積もっていた雪の中から「美」が出てくることを期待し雪解けを待ったが、「美」が見つかることはなかった。「美」がなくなり「八戸市 術館」となった館銘板の写真を市民がSNSに投稿すると、「秘術館」「忍術館」「施術館」「柔術館」など「美」の部分にさまざまな字を入れた投稿で盛り上がりを見せた。「『忍術館』が一番面白かった。『忍術』はありだなと思った」と佐藤館長。

 佐藤館長は昨年4月2日、同館の学芸員に館銘板の大きさに合わせた「美」を印刷するよう指示。発泡スチロールの板から「美」の字を切り出し、表面を黒く塗って完成させ、3日、館銘板の壁面に貼り付けると、再びSNSで話題を呼んだ。発泡スチロールの「美」は、5月15日にステンレス製の「美」に置き換えられるまでの42日間、風雨に耐え、役目を終えた。

 発泡スチロールの「美」はその後、館内に展示。「発泡スチロールの美」「館長手製の美」などとさらに話題を呼び、「美」を撮影するために同館を訪れる帰省客もいたという。同館関係者は「『美』のおかげで八戸市美術館のイメージが柔らかくなった」と振り返る。

 佐藤館長は2月1日、山本さんが「美のない美術館」を公開制作するスペースで発泡スチロールの板から「八」「戸」「市」「術」「館」の字を切り出し、表面を黒く塗って完成させた。コンクリートの壁面から浮かせるようにして設置されるステンレス製の館銘板に近づけようと、側面には色を塗らず、白い部分を残したという。

 山本さんは今後、佐藤館長が制作した文字をコンクリートの壁面を再現した土台に貼り付け、「美のない美術館」を完成させる。「美」の部分は空欄にし、来館者が「微」「備」「B」「腹話」など好きな字を入れて楽しめるようにするという。

 佐藤館長は「(発泡スチロールの『美』は)応急措置で作った物だった。『美』がブランク(空白)になることで何かが生まれるきっかけになることや、皆さんの反応が面白かった。(今回は)山本さんについ口を滑らせて『ほかの字も作りますか』と話し、作ることになった。外の広場に本物があって、館内には応急措置と同じ作り方で作った物がある。にせ物だけどにせ物ではない、ある意味での新しい本物。『美のない美術館』が完成したら、空白に何を入れるかを楽しんでいただければ」と話す。

 開館時間は10時~19時。展覧会「八戸アーティストファイル2025 Finding Our Beauty」の会期は2月15日~4月7日。観覧料は500円。高校生以下無料。火曜休館(2月18日は開館)。アート作品「美のない美術館」は無料エリアで展示する。

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