八戸経済新聞の2024年、年間ページビュー(PV)ランキング1位は、八戸市美術館(八戸市番町)前の広場に設置された館銘板の「美」の字が「発泡スチロールだ」と話題になったことを伝える記事だった。
スチレンボード製の「美」からステンレス製の「美」に取り換えられる館銘板
ランキングは今年1月1日~12月12日に配信したヘッドラインニュースのPVを集計したもの。上位10位は以下の通り(カッコ内は掲載日)。
1. 八戸市美術館の館銘板 「美」の字のみ館長手製の発泡スチロール製に(4/15)
2. SNSで「カマキリが多い」の声 八戸でも大量発生か(9/13)
3. 八戸にドーナツ店「てんころばしドーナツ」 中居さん、幼少期の夢かなえる(11/28)
4. 「ストII」と青森がコラボしたTシャツ、「波動拳」で南部と津軽を表現(3/13)
5. イトーヨーカドー八戸沼館店で閉店記念グッズ 来店客との交流コーナーも(7/25)
6. 十和田にジェラート店「キビジェラート」 手作りの味を週替わりで提供(9/20)
7. 六戸町にラーメン店「夢よし」 豚骨と煮干しの味、家族で提供(8/29)
8. イトーヨーカドー八戸沼館店が閉店 店長「取っておきのエピソード」明かす(9/3)
9. イトーヨーカドー八戸沼館店、閉店間近 店長「八戸は優しくなれる街」(8/28)
10. 階上にハンバーガー店「バイツ」 コワーキングスペース、地域情報の発信も(11/5)
1位にランクインした八戸市美術館の「美」の字は、3月、同館の警備員が広場「マエニワ」に設置されたステンレス製の「八戸市美術館」の館銘板から「美」の字がなくなっていることに気付き、1級建築士の資格を持つ佐藤慎也館長が応急措置としてスチレンボードで作った「美」を設置したもの。SNSで「発泡スチロールだ」と話題になり、佐藤館長がXに「こんなことがネタになっていてなんですが、話題になることはよいことだと思うようにします」(原文のまま)と投稿した。同館では話題になったことを受け、佐藤館長が作った「美」のレプリカを作ることができる「館長の美製作キット」を発売。同館の関係者は「『美』をきっかけに、八戸市美術館を応援してくれる人が増えた」と振り返る。
飲食店を紹介する記事も多くランクイン。てんころばしドーナツ(新湊1)を紹介する記事は、11月28日の公開から約2週間で3位にランクインした。開店前日まで10人だった同店のインスタグラムのフォロワー数は、12月12日現在で1369人となり、注目の高さがうかがえた。店主の中居亜希子さんは「インスタ映えしない店を目指したい」と話す。
5位、8位、9位にはイトーヨーカドー八戸沼館店(沼館4)の閉店に関連した記事がランクインした。同店は1998(平成10)年のオープンから約26年間、市民の衣食住を支え続けた。新型コロナウイルス感染拡大以降は、「八戸に自慢になるものを」と青森県の食卓の定番商品や、八戸の祭り、観光スポット、地酒などをかたどったオリジナルのカプセルトイを販売し、話題になった。2011(平成23)年3月11日に発生した東日本大震災では、全国のイトーヨーカドーで唯一、津波被害を受け、大津波警報が出される中で来店客を屋上に避難させた。8月31日、来店客を前に行われた閉店セレモニーで鍬田明美店長は「従業員も怖かったと思うが、お客さまのことを一番に考えて行動できたことは本当に尊敬でき、素晴らしいと思った。お客さまにもその時の記憶が残っていた。もうこの店を開けることがないのは残念だが、お客さまからの『思い出を胸にこれからも頑張る』というメッセージに勇気づけられた。私たちと過ごした時間を、皆さんの気持ちの中に刻んでもらえれば本当に幸せに思う」と声を詰まらせた。
来年も、八戸圏域を明るく照らす話題や出来事に目を向け、取材活動を続けていきたい。