
八戸在住の須藤清文さんが9月5日早朝、八戸の館鼻漁港でビニール袋片手にごみ拾いを行った。同港には、たばこの吸い殻や空き箱が散乱し、酒の空き瓶やペットボトルなどもあちこちに落ちていたという。
現在76歳の須藤さんは週3、4回、早朝にごみ拾いに取り組んでいる。今春、人生で初めて入院したことをきっかけに、健康づくりの一環として、6月上旬に八戸港沿いで散歩を始めた。ごみの多さに気づき、下旬からビニール袋を持って散歩をするようになったという。
活動の場は、館鼻漁港や八戸市第三魚市場(白銀町)付近、八戸港ポートアイランド(豊洲)の緑地や船着き場など。シンフォニープラザ沼館(沼館4)前の緑地でもごみを拾っている。日によって活動場所を変えるが、毎回ビニール袋がいっぱいになるという。拾ったごみは分別して集積所に出している。
「一部の人がごみを置いていく。車からたばこの吸い殻を捨てる人もいる。声がけをすることでごみが減っていけば」と須藤さん。館鼻漁港や第三魚市場付近では、釣り糸、空き缶、弁当容器、ティッシュの紙くずが目立つ。いずれもたばこのポイ捨てが多く、ポートアイランドには排せつ物が放置されていたこともある。活動を続ける中で、釣り人から「ご苦労さま」「毎日大変だね」など、励ましの声をかけられることも増えてきた。
館鼻漁港について、須藤さんは「内湾は特にごみが多い。船着き場周辺には集積所がない。ごみを収集したり管理したりする仕組みがないことも原因なのでは」と指摘する。
須藤さんは1973(昭和48)年から喫茶店「香彩珈琲(かっさいコーヒー)みな実」(石堂、番町)を経営してきた。日曜に開かれる館鼻岸壁朝市にも出店し、市民や観光客にコーヒーを提供してきた。第三魚市場から館鼻漁港、八戸大橋方面を眺める景色が好きで、生まれ故郷である鶴田町の津軽富士見湖の景色と重なるという。
須藤さんは「館鼻岸壁朝市には経済的にも助けられてきたが、その近辺がごみで汚れている。県外から訪れる皆さんがごみだらけの八戸港を見たら嫌な思いをする。日本一の朝市が開かれる場所が日本一きれいな場所になれば」と期待を込め、「一緒に取り組んでくれる人が増えれば」と協力を呼びかける。