八戸市南郷地区名産のそばで年を越してもらうと打ち立ての手打ちそばの販売が12月31日、南郷朝もやの館で行われた。
年越しそばの販売は同地区の地域振興団体島守田園空間博物館運営協議会が主催。同協会では旧八戸市と旧南郷村が合併した2005(平成17)年以降、南郷地区でとれた階上早生を使ったそばを年越しそば用として大みそかの早朝に打ち、予約販売している。
島守地区では古くから、年末年始のこの時期に「よっこ」と呼ばれるマスの切り身や、「あぶりこ」と呼ばれるいろりで焼いた塩漬けいわし、フキを使った煮しめなどと共にそばを食す家庭もある。年越しそばの提供は、こういった南郷島守地区の文化や風習を後世に伝え、南郷そばの魅力を知ってもらおうと行ってきた。
当日は6時30分ごろから、同協会でそばの伝承などを手掛ける「そばの会」のメンバー10人が120パック・240食分を打った。提供したそばは南郷地区産のそば粉を使用した十割そば。島守地区の水車小屋でひいた「やがらそば」を使用している。常連客も多く、年をまたぐカウントダウンに合わせて食すという人も。
同協会ではそばの販売を通じて南郷島守地区に関心を持ってもらい、地域の活性化につなげていきたいとしている。冬のイベントとして、冬季の島守地区を巡るウオークイベント(実施日未定)や、2月8日には「南郷雪ほたるまつり」などを予定している。
同協議会南郷朝もやの館館長の上野大輔さんは「令和最初の正月を温かく迎えてもらおうと、地元のお母さんたちが打ったそば。島守盆地は食文化が色濃く残る地域。今年も地域の若者やご年配、ほかの地域の方々も一緒になって文化を守り伝えていきたい」と話す。
朝もやの館館内の飲食店では、通年で南郷そばを食すことができる。新年の営業は1月3日から。営業時間は11時~14時(土曜・日曜は15時まで)。水曜定休。