造本家新島龍彦さんの企画展「物語が本になるまでの物語」が3月28日から、八戸ブックセンター(八戸市六日町)で開かれている。
新島さんは東京在住の造本家で、本の装幀から製本までを自身で行う独自の作品作りを展開。第48回造本装幀(てい)コンクールで読書推進運動協議会賞(2014年)、世界で最も美しい本コンクールで銅賞(2015年)などの受賞歴を持つ。現在は、篠原紙工(東京都江東区)の社員として本の制作に関わりつつ、個人でも本を制作している。
同展では新島さんが学生時代から手掛けてきた本や、本を収納するための箱、現在制作を手掛けている詩集などを、映像や製作過程を交えて展示。依頼主と関わり合う中で本が出来上がっていくまでの「物語」が分かる展示になっている。
現在作成中の岐阜県在住の詩人石原弦さんの詩集の展示では、作者・出版社・新島さんの出会いから、詩集のタイトル、本のサイズ、最適なレイアウト、書体などが決まるまでの過程を、当事者間のメールのやり取りや試作品を交えて展示している。このほか、光を当てて出た影が絵の一部となって物語が完成する絵本や、一枚の紙を折りたたんで一冊の本にしたもの、小説を改行せずに長い紙に一行でつづったものなど、個性豊かな作品が並ぶ。
新島さんは「完成した本だけではなく、プロセスの部分も展示した。ぜひ見て、本の良さを感じてもらえたらうれしい」と話す。
開館時間は10時~20時。入場無料。火曜定休。6月14日まで。