NPO法人あおもりの木で地域を支える「伝統と技術」の会(八戸市河原木)が現在、青森県内の公共施設に無垢(むく)の青森県産材を優先活用してもらおうと、署名活動を行なっている。
同会では、地域の木材を地域で利用することが、生産者、工務店などの地域経済の活性化や森林の適切な整備に寄与し、地球温暖化防止対策にもつながるとしている。
昭和40年代には年間約40万立方メートルだった県産材の伐採量は、近年では1万立方メートル程度にまで減っているのが現状。木材加工の技術を持つ職人が大きく減少しているという。建築業に40年ほど携わった経験を振り返り、同会の会長で大山建工(五戸町)代表取締役会長の大山重則さんは「経済の成長に合わせて大量生産が増え、県産木材を使う機会が減った。結果として、ノミやカンナを使える職人も減ってしまった」と話す。
一方で、青森県や岩手県は、ヒバ、赤松、杉、クリ、唐松などの県産材を多く有し、全国に発信するブランドとして多様な需要に対応できる可能性を秘めているという。大山さんは「青森の木は全国の建築物に使われている。地元の人々が地元の木材の良さを知れば、地域の誇りにもなる。地元の木材を活用することで、職人の育成や技術の継承、林業の活性化にもつながる。」と未来への期待を込める。「市民、県民にも青森の木材の良さを知ってもらい、行政の建物に使用してほしい。それが、職人の育成にもつながると考えている」とも。
会では、県の公共施設建設において設計段階で県産材を使用することを明確化することが、諸問題の解決やブランド推進につながるとしている。会には建築業者や個人など約40人が所属。11月には300人分の署名を県に提出する予定。