八戸藩南部家の当主と共に南部杜氏(とうじ)の歴史を振り返り、江戸時代の製法で製造された日本酒「國光正宗」を味わうイベント「八戸藩の歴史と南部杜氏を語る」が10月1日、八戸グランドホテル(八戸市番町)で開かれた。
「國光正宗」は岩手県洋野町の西大野商店に残る1784年築造の蔵から見つかった南部杜氏の秘伝書を基に日本酒を製造しようと、フェアリーチェ(新井田西)、南部美人(岩手県二戸市)が製造に取り組み、昨年初めて発売された。今回のイベントは第2弾の完成に合わせ開催された。
イベントでは、江戸時代から明治初期まで八戸市や岩手県久慈市の一帯を治めた八戸藩南部家16代当主の南部光隆さんと「南部杜氏の源流 近江商人といわて」著者の作家三島黎子さんが登壇し、南部杜氏の発祥の地とされる岩手県紫波町の歴史を解説。現在でも全国の杜氏の人口の約3割を占める杜氏集団「南部杜氏」の歩みを振り返った。八戸藩領の飛び地であった志和の代官所横の一等地に近江商人の村井権兵衛が酒蔵を構えたことから「南部杜氏」の文化が始まり、濁り酒が中心であった東北地方に清酒の製法を広げ、八戸藩領の財政を支えたことに触れた。
会場には市民や日本酒ファン約80人が訪れ、まろやかな口当たりの國光正宗に舌鼓を打ちながら八戸藩と南部杜氏の歴史に酔いしれた。アトラクションでは國光正宗をテーマに制作された楽曲「FUKKOKU浪漫(ろまん)~ここで出会えた奇跡~國光正宗~」を岩手県在住の歌手三本木智子さんが歌い上げた。
南部光隆さんは「国内最大の杜氏集団である南部杜氏の発祥は八戸藩領であるということを知ってもらいたい。紫波町に日本酒ファンが集う拠点ができれば、まちおこしにもつながるのではないか」と話す。
復刻酒「國光正宗」の価格は720ミリリットル=8,800円。フェアリーチェの通販サイト、道の駅おおの(岩手県洋野町)、西大野商店(同)で販売する。