十和田市現代美術館(十和田市西二番町)で、主に映像作品を手がける百瀬文さんの作品を展示する企画展「百瀬文 口を寄せる」が開催されている。
百瀬さんは2013(平成25)年に武蔵野美術大学大学院を修了。映像作品を中心に国内外で制作活動を展開し、女性ならではの視線で「身体」「セクシュアリティー」「ジェンダー」を巡る問題を追究している。同展では、女性の声優をモチーフにした新作「声優のためのエチュード」を世界で初めて公開。日本の文化ともいえるアニメーションの制作現場で、「少年の声を女性声優が演じる」という声優としては日常的なことに着目し、画像がない音声のみの「サウンド・インスタレーション」として展開している。
この他、声のコミュニケーションによるすれ違いを取り上げた「Social Dance」や、「声とは誰のものなのか」を提起する「定点観測[父の場合]」なども展示している。
展覧会タイトル「口を寄せる」は、「人が他人に身体を近づけていく親密さ」を表しているが、青森県の霊媒師「イタコ」が死者の魂を呼び寄せる「口寄せ」にも由来しているという。
十和田市現代美術館学芸員の見留さやかさんは「今回は『声』をテーマにした展示となっている。以前からも声を取り上げてきたが、今回は音だけの作品として『声優のためのエチュード』を制作してもらった。声につながる過去作品も展示されているので、ぜひ見てほしい」と呼びかける。
開館時間は9時~17時。入館料は、一般=1,800円。高校生以下無料。月曜休館。6月4日まで。