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三戸町地域おこし協力隊の米澤さん、2期目のビール醸造へ

収穫したホップを手にする米澤雅貴さん

収穫したホップを手にする米澤雅貴さん

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 青森県三戸町でビール用ホップの試験栽培に取り組む地域おこし協力隊の米澤雅貴さんが現在、2期目のホップを使ったビールの醸造に向け準備を進めている。

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 米澤さんは弘前市出身。2018(平成30)年に後継者不足の影響で途絶えた同町のビール用ホップの生産を復活させようと、2021年11月、同町の地域おこし協力隊に着任。田子町でホップを生産する農家の助言を受け、試験栽培に取り組む。

 2期目の今年は5月に作付けし、8月22日・23日に収穫を迎えた。今期の収量は約16キロ。1期目の約8キロを上回った。米澤さんは「記録的な暑さと少ない雨量の中で実が焼けることもあったが、見込んでいた収量に着地できた」と話す。収穫したホップは冷凍保存し、「羽後麦酒(ばくしゅ)」(秋田県羽後町)に持ち込んでビールの醸造に使う。

 1期目の昨年はホップの使用量を抑え、果実を思わせる香りが特徴の「ウイートエール」を醸造した。2期目の今年は使用量を増やし、ホップが持つ苦み・香りが強く感じられる「インディア・ペールエール(IPA)」50リットルを醸造する。早ければ11月ごろに出来上がる予定。

 今年は、清水屋旅館(南部町大向)と共同で、昨年収穫したホップと三戸産のリンゴを使った「ゴーゼビール」の試作にも取り組んだ。ホップを乳酸菌で発酵させ、リンゴの果汁を加え、酸っぱみとリンゴの香りが感じられるビールに仕上げたという。

 「IPAの完成後は、イベントに出向きサーバーなどで提供する機会を設けたい」と米澤さん。1期目のウイートエールは2月、同町の松尾和彦町長・町議会議員が試飲する機会を設けたが、2期目のIPA・ゴーゼビールは地元住民にも試飲の場を提供しようと準備を進める。

 隊員の任期は来年10月末まで。退任後は同町で農家として独立することを目指し、町民・観光客の交流の場としても機能する醸造所「コミュニティ・ブルワリー」を設立しようと模索する。米澤さんの活動を聞きつけた旧平庭高原ビール(岩手県久慈市)の元関係者から連絡を受け、近い将来、現在は停止している久慈市内の醸造所を借用してビールを醸造することも決まっているという。

 米澤さんは「再来年までには自分で醸造できるようにして、自分たちで作ったビールを三戸町の新たな魅力として発信していきたい」と力を込める。

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