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八戸在住のフォトレツさん、91歳のイタコの撮影続ける 銀座で個展も

フォトレツさんの作品「コロナ禍のオシラサマアソバセ」

フォトレツさんの作品「コロナ禍のオシラサマアソバセ」

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 八戸を拠点に写真活動を展開するフォトレツさんが現在、イタコの撮影に取り組んでいる。

プロジェクターで祖母の写真を投影した作品(写真提供=フォトレツさん)

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 フォトレツさんは八戸市在住。会社員として働く傍ら、趣味として一眼レフカメラを持ち、八戸のクラブシーン、昭和50年代に生まれた「ロスジェネレーション世代」のポートレート写真などの撮影を続けてきた。2021年12月から、市内で活動する盲目のイタコ・中村タケさんの自宅を訪れ、依頼主の親族の霊を呼び寄せるとされる「口寄せ」、東北地方に伝わる民間信仰の神体「おしらさま」を祭る儀式「おしらさまあそばせ」の様子などの撮影を続ける。昨年、中村さんがおしらさまあそばせを行う様子をとらえた写真「コロナ禍のオシラサマアソバセ」が全日本写真展2022で5909点の応募作品の中から銀賞に選ばれた。

 中村さんは1932(昭和7)年生まれの91歳。10代の頃からイタコとして生計を立ててきた。悩みを抱える人、他界した家族を供養したいと考える人などが中村さんの自宅を訪れ、口寄せを受ける。中村さんは「今は彼岸などになると1日に5、6人ほど人が来るが、普段はそんなに盛り上がることはない」と話し、家族の支えを受けながら1人で暮らす。

 「初めは怖いという先入観を持ってタケさんの自宅に行った。口寄せの様子に興味があったが、今ではタケさんの日常も撮影するようになった」とフォトレツさん。中村さんの自宅に通い、口寄せの様子のほか、不安や悩みを抱えて訪れる人々と中村さんの触れ合い、中村さんが昼食でラーメンを食べる様子などを撮影し続けた。

 今年、ソニーイメージングギャラリー銀座(東京都中央区)の「第12回作品展公募」の「一般公募部門」に応募した作品集「Grandma Comes Back」が合格した。「Grandma Comes back」は2016(平成28)年に亡くなった祖母・イマさんとフォトレツさんが、中村さんの口寄せによって再会し、長女が生まれたことを報告する様子を複数の写真で描く。「おばあちゃんが亡くなったその年に娘が生まれた」とフォトレツさん。

 中村さんによると、八戸のイタコは後継者が不足しているという。中村さんは「昔は八戸に50人ほどもいて、総会を開くと歌ったりして楽しんだ。今は2、3人しかいない。跡継ぎはもういなくなるだろう」と話す。フォトレツさんは「タケさんは、地域のお母さんのような、慕われている存在。顔を見に来るだけの人もいる。今後もタケさんを撮り続け、その様子を伝えていきたい」と話す。

 フォトレツさんは12月8日~25日、ソニーイメージングギャラリー銀座で個展を開く。今後は写真集の発売も予定する。

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