南部町高瀬地区で活動する「高瀬町内会えんぶり組」が2月17日、青森県の冬を代表する祭り「八戸えんぶり」に初参加する。
同えんぶり組は例年、同町剣吉地区の祭り「南部地方えんぶり」に参加して伝承活動に取り組んできた。かつて使っていた太鼓の胴に「万延2年、高瀬村中」と記されていたことから、同年に当たる江戸時代の1861年には活動していたと考えられる。第2次世界大戦後の高度経済成長期から活動を休止していたが、1984(昭和59)年に地元住民が復活させた。えんぶり関連行事で最大規模の八戸えんぶりへの参加に向け、親方の東憲志さんは「八戸に高瀬の旗を掲げたい」と力を込める。
かつては農家が多かった同地区は、現在は会社員が多くなってきたという。八戸えんぶりへの参加を決めた経緯について、東さんは「平日開催が多く休みが取れなかったので、八戸にはなかなか参加できなかった。今年は初日が土曜なのでチャンスだと思った。若いメンバーに相談すると『この機会を逃せば出られないかもしれない。ぜひ出たい』と言ってくれ、やるしかないと思った」と話す。
東さんは同えんぶり組の復活から40年間、活動に取り組んできた。太夫の舞う「摺(す)り」の振り付けの伝承に課題を抱えていた約20年前、八戸えんぶりに参加する「根城新組えんぶり組」に助けを求め、摺り、八戸の地名を紹介する「大福舞」などを学んだ。以来、両えんぶり組は、南部地方えんぶり、八戸えんぶりでそれぞれの組のメンバーが加わったり、練習拠点を相互に訪れたりして、交流を深めてきた。大福舞は現在、今年の八戸えんぶりでの披露に向け、高校生のメンバーが練習に熱を入れる。
「少子高齢化の影響はあるが、今年は高瀬に住む小学生以下の子どもが多く集まってくれた」と東さん。2月5日、練習拠点の高瀬コミュニティセンター(南部町高瀬)には約10人の幼児・小学生が集まり「田植え」「よろこび舞い」などの演目の練習に取り組んだ。東さんは「練習の雰囲気も、例年以上に盛り上がっている」と話す。同えんぶり組に初めて参加したという小学3年の男の子は「八戸の人に、扇子の動かし方を見てほしい」と笑顔を見せる。
東さんは「八戸の皆さんに負けないくらい頑張るので、温かい目で見守ってもらえるとうれしい」と話す。「『摺りおさめ』の最後のポーズが根城新組と違うので、注目してほしい」とも。
同えんぶり組は2月17日、7時から長者山新羅神社(八戸市長者1)で行われる奉納と10時からの行列、10時40分からの「一斉摺(ず)り」に参加する。