青森県を代表する祭り「八戸えんぶり」が2月17日~20日、4年ぶりに通常の規模で開催された。
「八戸地方に春を呼ぶ」とされる祭りは2021年・2022年、新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止。2023年は一部の行事の規模を縮小し開催した。今年は4年ぶりに長者山新羅神社(八戸市長者1)で奉納を行う順番を決める「札取り」を行ったほか、八戸市中心街で行うメイン行事「一斉摺(ず)り」を例年の規模で行うなどし、通常開催された。
札取りで「一番札」を獲得した「東十日市えんぶり組」の小町秀一さんは「コロナで全く活動できなかった年もあった。去年から少しずつ再開し、ようやく今年は制限なく開催されたことが一番良かった」と話す。同えんぶり組は2月12日、長者山新羅神社の境内に入り、5日間を境内で過ごした。「恵比寿舞」を担当する小町幸秀さんは「4年ぶりのフル開催で一番札と一緒に一斉摺りに参加でき、とても気持ちよく、その勢いで4日間の祭りを乗り切れた」と話す。
南部町高瀬地区で活動する「高瀬町内会えんぶり組」は、1984(昭和59)年の活動再開後初めて八戸えんぶりに参加。2月17日、「高瀬町内会」の文字が入ったのぼり旗を掲げ、長者山新羅神社での奉納や、えんぶり行列、一斉摺りなどに臨んだ。親方の東憲志さんは「みんなの思いが実った。奉納では緊張したが、周りの人に支えられてなんとか終えられた。青空の下で参加でき、本当にうれしかった。子どもたちに『大きな声で踊るんだよ』と言うと大きな声の返事があった」と笑顔を見せる。
南郷地区の「荒谷えんぶり組」に参加するアーティストの山本耕一郎さんは「寒い時期にみんなで懸命に踊る姿には感動する。今年は48人の大所帯でにぎやかだった」と話す。山本さんは2012(平成24)年、県外から同地区に移住し、2022年から子どもと一緒に同えんぶり組に参加。「3歳だった子どもがもう5歳になった。地域色が凝縮された小さなコミュニティーがある。1カ月以上練習してきた子どもたちが、ここぞと成果を見せてくれた」と目を細める。
祭りを主催する「八戸地方えんぶり保存振興会」の塚原隆市会長は「4年ぶりのフル開催で、皆さんの笑顔が印象的だった。初日が土曜だったこともあり、とてもにぎわっていたと思う」と話す。「東北では冬の祭りが減ってきている。八戸えんぶりをひとつの切り口に、八戸全体の観光振興につなげたい」とも。