
作家・森沢明夫さんの青森三部作の完結編となる「ライアの祈り」(小学館)が9月26日、発売された。
森沢さんは、雑誌編集者を経てフリーライター、作家に転身。「ラストサムライ 片目のチャンピオン武田幸三」(角川文庫)では第17回「ミズノスポーツライター賞」優秀賞を受賞した。
2009年に青森県弘前市の老舗食堂を舞台にした「津軽百年食堂」を執筆。2010年には青森市を舞台にカーリングをテーマに「青森ドロップキッカーズ」を執筆した。「津軽百年食堂」はのちに映画化され、「青森ドロップキッカーズ」もバンクーバー冬季オリンピックのカーリングチームの活躍と合わせスマッシュヒットとなった。
「ライアの祈り」の舞台は八戸。ストーリーは平成と縄文時代を超えて行き来し、空間的にも海外も登場するなど、三部作の完結編にふさわしく時空を超えたスケール感の大きい小説になっている。ストーリー上で随所に自然に挿入される、八戸の観光名所や飲食スポットの描写も詳細だ。
「三部作という話は最初は当然無かった。しかし、比較的早い段階で関係者の誰からともなく三部作という話題が出た」と森沢さん。「八戸は僕が全国放浪の旅に出ていたときに何度も訪れた場所。東日本大震災の前日も八戸にいた。その八戸を舞台に小説を書けるのは感慨深いこと」とも。
編集に携わった小学館文芸編集部齋藤彰さんは「本書の紙は三菱製紙八戸工場で製造された紙を使っている。通常、編集者や作家がどの工場の紙を使うか意識したり指定したりは多くない。今回は、八戸をテーマにした作品に八戸の紙が使われてとてもうれしい」と話し、「震災で八戸地域全体も同工場も大きな被害を受けた。本を読んでいただくことで少しでも地域に貢献できれば」とも。