国の文化審議会が八戸市の丹後平(たんごたい)古墳群(八戸市東白山台・南白山台)の出土品を重要文化財(考古資料)に指定するように3月9日、文部科学大臣に答申した。
金装獅噛三累環頭大刀柄頭(写真提供=青森県、撮影=小川忠博)
丹後平古墳群は、飛鳥時代中頃から平安時代前期まで継続的に造られた古墳群で、1987年から2000年にかけて断続的に八戸市が発掘調査を実施。一部は国史跡に指定されている。
今回の指定品は、飛鳥時代から平安時代にかけて造られた小規模な土坑墓(どこうぼ)から出土した副葬品や墓前祭祀(さいし)に用いられた土器の一括。中でも、朝鮮半島で作られたとみられる黄銅製の「金装獅噛三累環頭大刀柄頭(きんそうしがみさんるいかんとうたちつかがしら)」は国内で出土例がなく貴重なもの。
東北地方に特徴的に分布する蕨手刀(わらびてとう)や錫釧(すずくしろ)、多量の玉などもあり、律令(りつりょう)制が直接及ばなかった北日本における社会や墓制のあり方を考える上で価値が高い。
八戸市博物館館長の古里淳(じゅん)さんは「今回の指定は、東北、北海道に特有の末期古墳から出土した中では初の指定。青森県の考古資料の中では、今まで縄文、弥生だけだったが、歴史時代のものとしては初の指定で関係者としても大変うれしい」、同館学芸員の落合美怜(みさと)さんは「一生懸命準備をした担当者の努力が認められうれしい。この時代は文献での記録がない時代で、出土品を見ることで当時の八戸の様子がうかがえる貴重な資料。特に『金装獅噛三累環頭大刀(たち)柄頭』は八戸と大陸の交流の可能性を示していると思われる」と、それぞれ話す。
今回の主要な指定品は4月17日~5月6日、東京国立博物館(東京都台東区)で展示する。八戸市博物館では6月1日以降に展示を予定し、10月6日~11月4日に新指定記念秋季特別展「丹後平古墳群と蝦夷の世界(仮)」を開催する。