
八戸の馬術「加賀美流騎馬打毬(だきゅう)」の魅力と課題を伝える「八戸騎馬打毬応援イベント」が6月14日、八戸ポータルミュージアムはっち(八戸市三日町)で開かれる。
後継者や運営資金の不足、牧場の減少、馬の高齢化などを背景に存続の危機にある騎馬打毬の伝統を守ろうと、八戸藩南部家が企画。16代当主の南部光隆さんが江戸時代から続く騎馬打毬の歴史を解説するほか、「八戸騎馬打毬会」幹事長の山内卓さんや「南部打毬を支援する会」代表の工藤義治さんが登壇し、現状を紹介する。騎手として活動する市民がその魅力を語る場面も用意するという。
騎馬打毬は、八戸の夏を彩る祭り「八戸三社大祭」の中日になる8月2日、長者山新羅神社(長者1)の「桜の馬場」で開かれ、騎手が馬を巧みに操りながらまりを拾い上げ、毬門(まりもん)に投げ入れる場面が見ものになっている。1827年、8代藩主南部信真が藩の馬術の振興を目的に導入した。現在は八戸騎馬打毬会が継承に取り組むが、コロナ禍を経て4年ぶりに開催された2023年以降、8人だった騎手を6人に減らして実施している。毬門とはサッカーやラグビーなどの球技にたとえるとゴールのこと。
埼玉県在住の光隆さんは「2027年で200周年を迎えるが、存続の危機にある」と危機感を募らせる。これまで数年にわたり積極的に八戸を訪れ、騎馬打毬に使われる馬を飼育する乗馬クラブや、新羅神社などに出向き、関係者から現状を聞き取ってきた。
5月4日には、帆風美術館(北インター工業団地1)でトークイベントを開催。光隆さんは、約25人の市民に、馬の調達に約50万~120万円、飼育に毎月約5万~10万円の費用がかかることや、時代の変化によって馬を飼育する牧場が減り、使用する馬の高齢化や頭数の減少が顕著になってきていることなどを訴えた。観戦環境の整備として日よけテントの設置やドリンク販売を実施することや、市民が馬を共同で所有する仕組みづくり、祭り期間以外にも騎馬打毬を披露するイベントを開くことなど、独自のアイデアも提案した。光隆さんは今後も継続的に八戸を訪れ、関係者や市民と共に存続に向けた方策を探っていく考え。
光隆さんは「八戸の皆さんの多くが、騎馬打毬が存続の危機にあることを知らないことが鮮明になってきた。どんな方策なら実現可能か、誰のサポートを受けたら良いか、いつまでに取り組まなければならないのかを、皆さんと語り合っていきたい」と呼びかける。
12時開演。入場無料。申し込み不要。